無線電話用特定小電力無線局
無線電話用特定小電力無線局(むせんでんわようとくていしょうでんりょくむせんきょく)は、13種類ある 特定小電力無線局の1種類であり、近距離の音声通信を行うために運用される 無線局である。無線局を開設するために 総務大臣の免許を必要としないが、その無線設備が 適合表示無線設備であることが必要である。無線電話用特定小電力無線局には以下の2種類がある。
- 421MHz帯、422MHz帯又は440MHz帯を使用する無線電話用
- 413MHz帯、414MHz帯又は454MHz帯を使用する無線電話用
421MHz帯、422MHz帯又は440MHz帯を使用する無線電話用
421MHz帯、422MHz帯又は440MHz帯を使用する無線電話用特定小電力無線局は、平成元年( 1989年)に特定小電力無線局の制度の発足時に制度された。無線局の免許や運用のための無線従事者の免許は不要であり、誰でも自由に使用できるものである。既に技術基準適合証明等を受けた無線設備が160万台を超えており、相当数の無線機が国内に普及している。通信の目的は特に限定されないが、空中線電力が0.01Wに制限されているので近距離の通信に限定されること、通信に使用する 周波数を多くの使用者が共用し、通信を行いたいときに通信ができない可能性があること、通信に秘匿性がないことなどから、あまり重要な通信には利用されず、レジャーや比較的簡易な業務に使用される。中継器の使用が認められているので、 中継器を使用することによって、より遠方の相手と通信を行うことが可能となる。現在販売されている無線機には、単信方式で通信を行う機能(交互に送信することにより相手と通信を行う機能)に加えて、複信方式で通信を行う機能(固定電話や携帯電話のように2者間で同時に会話ができる機能)を有するもの、複信方式や半複信方式により中継器を使用できるもの、中継器の機能を併せ持つものがある。また、販売されている中継器には、中継器の間を LANや インターネットで接続し、さらに遠方の相手と通信を行うことが可能となるものがある。平成元年に制度化されたときには、音声通信の変調方式はアナログ方式のみであったが、平成12年(2000年)からはデジタル変調方式が認められるようになった。ウォーキートーキーとして使用されるものの他、インターカム、ワイヤレスインターフォン、機器の異常状態を通報する音声自動通報システム、車載無線機と車から離れた運用者との間を中継するシステム、自動車セキュリティ機器に組み込まれた車内音モニタシステムなどがある。また、無線設備のRF部と制御部が分離され、RF部を屋外に設置できるものもある。
技術基準
使用される周波数は、同報通信方式、複信方式又は半複信方式用が56波(内2波は周波数制御用チャネル)、単向通信方式、単信方式又は同報通信方式用が21波(内1波は周波数制御用チャネル)割り当てられている。電波の型式は、F1D、F1E、F2D、F2E、F3E、F7W、G1D、G1E、G2D、G2E、G7E、G7W、D1D、D1E、D2D、D2E、D3E、D7E及びD7Wが認められている。 空中線電力は、0.01W以下に制限されており、 アンテナ(空中線)は、無線機本体に装着されてなくてはならず、アンテナをはずしたり、 給電線を使用することはできない。その絶対 利得は2.14dB以下でなければならない。通信時間を自動的に3分(周波数制御用チャネルでは0.5秒)以内に制限し、通信終了後2秒経過しなければその後の通信を行わない機能を有しなければならないが、空中線電力1mW以下であって421.575-421.8MHz又は440.025-440.25MHzを使用する場合にはこの機能は不要である。また、一定レベル以上の受信信号(絶対利得が2.14dBの空中線に誘起する電圧が7μV以上)があるときには、送信を禁止する機能(キャリアセンス)を有することが必要(複信方式及び半複信方式のものにあっては、受信周波数に対応する送信周波数におけるキャリアセンスが必要)であるが、空中線電力が1mW以下のものであって、通信方式が複信方式及び半複信方式であるときには、自局の送信周波数でキャリアセンスを行うことができる。その他の技術基準として以下のものがある。
- 空中線電力の許容偏差:上限20%、下限50%
- 帯域外領域におけるスプリアス発射の強度の許容値:25μW以下
- スプリアス領域における不要発射の強度の許容値:25μW以下
- 占有周波数帯幅の許容値:8.5kHz
- 周波数の許容偏差:0.0004%
- 送信装置の隣接チャネル漏えい電力:搬送波の周波数から12.5kHz離れた周波数の±4.25kHzの帯域内に輻射される電力が搬送波電力より40dB以上低いこと
同報通信方式、複信方式又は半複信方式用周波数(56波)
- 421.5750〜421.9125 MHz(12.5kHz間隔28波、421.8000 MHzは周波数制御用)
- 440.0250〜440.3625 MHz(12.5kHz間隔28波、440.2500 MHzは周波数制御用)
単向通信方式、単信方式又は同報通信方式用周波数(21波)
- 422.0500〜422.3000 MHz(12.5kHz間隔21波、422.1875 MHzは周波数制御用)
413MHz帯、414MHz帯又は454MHz帯を使用する無線電話用
413MHz帯、414MHz帯または454MHz帯を使用する無線電話用無線電話用特定小電力無線局は、工場・プラントなどの事業所構内、建設・工事現場などで使用していた作業連絡用無線の陸上移動局が平成13年に特定小電力無線局として制度化されたものである。親局と多数の子局との間で双方向同時通話を行うものが一般的であり、通常、親局が454MHz帯を使用し子局が413MHz帯、414MHz帯を使用している。
技術基準
電波の型式は、F2D及びF3Eが認められている。空中線電力は0.001W以下に制限されており、給電線の使用は可能である。アンテナ(空中線)は絶対利得2.14dB以下でなければならない。通信時間の制限はなく、一定レベル以上の受信信号があるときに送信を禁止する機能(キャリアセンス)も不要である。 その他の技術基準として以下のものがある。
- 空中線電力の許容偏差:上限20%、下限50%
- 帯域外領域におけるスプリアス発射の強度の許容値:25μW以下
- スプリアス領域における不要発射の強度の許容値:25μW以下
- 占有周波数帯幅の許容値:8.5kHz
- 周波数の許容偏差:0.0004%
- 送信装置の隣接チャネル漏えい電力:搬送波の周波数から12.5kHz離れた周波数の±4.25kHzの帯域内に輻射される電力が搬送波電力より40dB以上低いこと
同報通信方式、複信方式又は半複信方式用周波数(96波)
- 413.7000〜414.14375 MHz(6.25kHz間隔、72波、インターリーブ)
- 454.0500〜454.19375 MHz(6.25kHz間隔、24波、インターリーブ)
無線電話用特定小電力無線局以外の免許不要の無線電話用無線局(ラジオマイクを除く。)
- 市民ラジオは昭和36年(1961年)に、米国の「Citizens Band (CB) Radio Service」にならい制度化された「27Mc帯の電波を使用する簡易無線局」(要免許の無線局)が、電波法令の改正により昭和58年(1983年)に免許を要しない無線局となったものである。市民ラジオは、誰でも運用できる無線局であり利用目的に制限はない。26-27MHz帯の8周波数が割り当てられており、空中線電力は0.5W以下、電波の型式はA3Eのみ、使用する無線機は適合表示無線設備でなければならない。
米国の制度
米国における免許不要の無線電話用無線システム(ラジオマイクを除く。)には以下のものがある。
- Multi-Use Radio Service (MURS)
- 周波数:151MHz帯3チャネル及び154MHz帯2チャネル
- 電波の型式:A1D、A2B、A2D、A3E、F2B、F1D、F2D、F3E、G3E
- 最大送信機出力:2W
- Citizens Band (CB) Radio Service
- 周波数:26-27MHz帯40チャネル
- 電波の型式:A1D、H1D、J1D、R1D、A3E、H3E、J3E、R3E
- 最大送信機出力:4W(A1D、A3E)、12W(H1D、J1D、R1D、H3E、J3E、R3E )
- Family Radio Service (FRS)
- 周波数帯:462MHz帯7チャネル及び467MHz帯7チャネル
- 電波の型式:F3E、F2D
- 最大ERP:0.5W
CEPTの制度
CEPT(European Conference of Postal and Telecommunications Administrations)は、CEPT加盟国(注)における電波を利用するシステムの共通化を進めている。以下のシステムは免許不要の無線電話用(ラジオマイクを除く。)無線システムとしてCEPTが共通化を進めているものである。CEPT加盟国であっても導入していない場合もある。
- 周波数:26-27MHz帯40チャネル
- 変調方式:角度変調
- 最大送信機出力:4W
- 周波数帯:446MHz帯8チャネル
- 変調方式:周波数変調
- 最大実効輻射電力:0.5W
- 周波数帯:446MHz帯16チャネル
- 変調方式:デジタル変調
- 最大実効輻射電力:0.5W
注 CEPTは以下の国の通信主管庁等から構成される。
- Albania, Andorra, Austria, Azerbaijan, Belarus, Belgium, Bulgaria, Bosnia and Herzegovina, Croatia, Cyprus, Czech Republic, Denmark, Estonia, Finland, France, Georgia, Germany, Greece, Hungary, Iceland, Ireland, Italy, Latvia, Liechtenstein, Lithuania, Luxembourg, Malta, Former Yugoslav Republic of Macedonia, Moldova, Monaco, Netherlands, Norway, Poland, Portugal, Romania, Russian Federation, San Marino, Serbia, Slovak Republic, Slovenia, Spain, Sweden, Switzerland, Turkey, Ukraine, United Kingdom, Vatican City
関連項目
むせんてんわようとくていしようてんりよくむせんきよく
出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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