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動力車

動力車(どうりょくしゃ)とは、動力を有する車両のことである。

概要

鉄道車両

7000系デハ7400型)]] 鉄道車両では機関車の他、電車気動車電動機エンジンなどを有し自走のために必要な機能を備えている車両がこれにあたる。
広義には機関車を含むが、動力分散方式が主流をなす日本の鉄道においては、「動力車」は電車や気動車のそれを指すケースが多い。
編成表などでは、Motorの頭文字である「M」で略記する事がある。電車の場合、運転席を有する車両を特別に制御電動車(せいぎょでんどうしゃ)と呼び、先のMと運転席を示すcontroller の頭文字である「c(慣例で小文字とする場合が多い)」を組み合わせ、車体の片側に運転席がある車両を「Mc」、車体の両側に運転席がある車両を「cMc」と略記する。
また国鉄型気動車の場合、DMH17系エンジンを走行用として1台搭載した車両を小文字の「m」、同系エンジンを2台搭載あるいはそれに相当するDML30系エンジンなどの大出力エンジン1台搭載の車両を大文字の「M」で表わして区別していた。
以上は日本国有鉄道(国鉄)・JRに見られる略記方法であり、鉄道事業者によっては異なる表記を用いている場合がある。例えば、帝都高速度交通営団(営団)・東京地下鉄(東京メトロ)では車体の片側に運転席がある車両のことを「C」を大文字で、なおかつ「M」の前に置いて「CM」と表記している。近畿日本鉄道ではcを小文字にして「cM」という表記をしている。

称号について

日本での事例
国鉄・JR四国を除くJR各社の在来線電車では、モーターの頭文字である「モ」の略称が与えられている。戦前の電車は単行あるい短編成での運行だったので、電動車はすべて運転台つき(現在でいう制御電動車)であり、これに「モ」の記号を与えていた。
戦後、1950年モハ80形で初めて運転台無しの中間電動車が登場し、さらに続く70系で在来車との混用が実施されて運用上、制御電動車と中間電動車を区分する必要が生じた。
このことから、1959年の称号規定改正に際し、運転台のついた電動車は制御車を意味する「ク」を前に置いて「クモ」と表記し、中間電動車は「モ」とするように規定が変更された。これらの記号の後に客車同様、普通車を表す「ハ」やグリーン車を表す「ロ」などの車両等級、荷物車を表す「ニ」などの車種を表す記号が入れ、「モハ」「クロ」などとされる。ただし、新幹線車両については数字のみで構成されている関係でこの称号は用いられない。
しかし、国鉄・JR以外の日本国内の鉄道事業者においては、異なる表記を用いる例が複数存在する。
私鉄では、制御電動車を「クモ」と区別しているのは西武鉄道三岐鉄道、それに山陽電気鉄道など少数派であり、制御電動車も含めて「モ」とする方が一般的である。名古屋鉄道近畿日本鉄道などでは、「モハ」などのような等級表示との組み合わせとせず、電動車は全て「モ」1文字としている。東京急行電鉄小田急電鉄京王電鉄などでは、「モ」の代わりに「電動車」の頭文字である「デ」を用い、「デハ」などとしている。また、その他にも電化から昭和初期まで「電」を用いた南海鉄道などや、「M」を用いた栗原電鉄および札幌市交通局の様に、独自の称号を用いた例も幾つかあった。また、阪急電鉄東京地下鉄の様に片仮名などの記号を一切用いずに番号だけの会社もある。京成電鉄などでは、従来は「モハ」などの記号と組み合わせていたのを近年では番号のみとしている。
国鉄・JRの気動車の場合、走行用エンジンを持つ動力車は運転台の有無にかかわらず「キ」、制御車(走行用エンジン無し)は「キク」、付随車(中間車)は「キサ」としている。
私鉄の気動車の場合、弱小事業者群が試行錯誤を繰り返し、鉄道省に先駆けて気動車の普及を進めたという経緯もあり、戦前期においてはその称号は千差万別で、ガソリン動車を示す「ガソ」や「カ」、レールカー(日本語に直訳して軌道自動車とも称された)を略した「レカ」、自働(自動)客車を示す「ジ」や「ホジ」(ボギー車に使用)、自社の社名の頭文字を取って「ゼ」(善光寺白馬電鉄)あるいは「ミヤ」(筑前参宮鉄道)、さらにはgasoline Carから「C」を称号とするもの(江若鉄道)など、各社の独創性を示す多様な称号が用いられた。
鉄道省で気動車の量産が行われるようになって以降はその称号に準じる例が増え、戦後も1980年代まではその傾向が続いたが、1980年代中盤に赤字ローカル線の第三セクター転換が行われるようになって以降は、それぞれ独自の称号を与える例が急増、現在もその状況が続いている。
なお、JR四国では車両総数が少ないこともあって、自社発注電車・気動車については2000系や8000系など、全て4桁の数字のみの形式称号を与えるようになっており、電車や気動車を示す称号は与えられていない。

鉄道車両の駆動方式

ユニット方式

鉄道車両、特に電車においては、1両で各機能を完結させず、複数の車両間で主制御器、電動発電機(MG)、空気圧縮機(CP)などの主要機器を集約分散搭載する、ユニット方式と呼ばれるシステムが採用されることがある。
MM'ユニット方式
1954年 7月に完成した、近畿日本鉄道モ1450形電車において、三菱電機近畿日本鉄道の共同開発により、異なる機器を搭載する2種類の電動車を連結する事で1つの機構として成立する、1C8M制御によるユニット方式が実用化された。
これは2両の電動車をひとまとまり(= 1ユニット)として取り扱い、片方の電動車に主制御器、主抵抗器パンタグラフといった主電動機のコントロールに直接関係した機器を2両分、もう片方の電動車にMGCPといった補機類を、2両(付随車があればその分も)に必要な規模で集約分散搭載する方式である。この方式は当初、カルダン駆動方式を採用する高性能車において、回生 / 発電ブレーキの常用を可能とするため、主電動機が低電圧・大電流・高回転化したことに対応して、直並列制御の組み合わせの自由度を高めるべく、より多数の主電動機を1台の制御器で制御する必要が生じたことから考案されたものであった。
だが、この方式のメリットはそれだけではなかった。2両分の機器を集約分散搭載した結果、各機器の製造・保守コストが大幅に削減され、さらにMGやCPについては容量増 = 重量増ではないため、ユニット全体の軽量化が実現されたのである。
この方式は近鉄モ1450形での長期試験において大成功を収め、1460系以降の同社車両の大半に採用されたばかりでなく、小田急電鉄などの三菱電機製品を採用する私鉄各社にも急速に伝播した。さらには国鉄101系電車へMM'ユニット方式としてこのアイデアが採用されたことによってそのノウハウが公開され、他の電機メーカー各社においても同種のシステム採用が可能となったため、この方式は以後一般化し、日本の各鉄道会社に幅広く普及している。
欠点としては、ユニット内の主要機器が故障するとユニット全車が走行不能、あるいは電動車として使用不能となる(一気に2両が無動力化し、かつ、死重となる)こと、列車の最小運行単位が2両となり、1両単位での編成調整や単行運転が出来ないことが挙げられる。このため竣工時の南海電気鉄道21001系電車など比較的短編成で運行される一部の山岳線区向けの車両では、営業運転中の1ユニット故障が直接列車の運転不能に繋がる恐れがあると考えられ、冗長性確保の面からユニット構成をあえて回避する事例が見られる。
このシステムは長大編成の電車列車を、電気制動による抑速ブレーキ必須の連続急勾配区間を含む線区で長期にわたり運行してきた近鉄と、MGやCP、それに空気ブレーキまでグループ内で製造している三菱電機のコンビならではの卓抜なアイデアであり、この方式の実用化は特に国鉄における長大編成の機関車牽引による客車列車を動力分散方式の電車で置き換える上で、高価な制御器の数を減らすことによるイニシャルコストの減少や保守性の向上、編成全体の重量減による軌道破壊の減少、あるいは相対的な性能の向上など、後の新幹線電車の成功につながる重要な役割を果たした。
用途により、1ユニットが必ずしも運行時の最小単位となるとは限らない。例えば国鉄117系電車の場合、電動車自体は2両1ユニットであるが、電動車に運転台付きの車両が存在しないため、両端に制御車を連結した4両が最短の編成となる。
ユニット方式の拡大
一般的には取り扱いの利便性から2両(主電動機8台)単位とされることが多いユニット方式であるが、様々な事情から、下記のように1C8M以外の変則例が幾つか存在する。
  • 京浜急行電鉄 800形:高加減速性能を実現する必要と、当時3両編成が基本であった普通列車に使用する必要から、異例の1C12M方式として設計された。そのため主電動機の端子電圧は250Vである。
  • 新幹線500・ N700系(中間2ユニット):最高300km/hでの超高速運転を実現すべく、軽量化と高出力化を両立するための手段としてM1-M2-M3-M4の4両1ユニット化が選択された。
  • 京成電鉄 3300形3500形など:2両ユニットの4つの台車のうち1つの台車にモーターがない1C6M方式を採用する。
  • 小田急電鉄 2600形:設計当時の輸送需要や主電動機性能、それに経済性を勘案して3両1ユニットが採用され、1C6M制御器をユニットあたり2基搭載する。主電動機の端子電圧は500Vである。
付随車を含むユニット方式
上記以外にも、電動車以外に付随車を含めたひとまとまりを1ユニットとする場合がある。例えば新幹線300系電車では、通常のMM'ユニット間に変電機器を集約搭載した付随車を挿入する、M1-Tp-M2による3両ユニットを基本としている。この例を含め、電動車の機能の一部を分散搭載された付随車をユニットに含む例は交流電化線区向け車両に多く見られ、それらの大半では付随車に交流→直流変換機能を集約搭載することで、電動車の機器設計を直流電化向けと共通化することや、高圧機器と低圧機器の混在によるトラブル防止に役立てている。
なお、この300系のMTMユニット方式は後続の500系で4両ユニット構成の全電動車方式となり、さらに700系では経済性を重視してそこから1両分の主電動機を省略した、M1-M'-M2-Tの4両ユニットとなったため、日本の新幹線においては他例が存在しない。ただし、ドイツ鉄道(DB)のICE3においては、重量軽減と日本に比べて遙かに複雑な電化方式への対応の必要からこの方式が採用されている。

ユニットカット

地下鉄や山岳線区など、故障による走行不能が重大な事故に繋がりかねない路線では、冗長性確保のため1編成内に2組以上の電動車ユニットが連結される。そのような編成が、故障などの異常時や運行上1組の動力を用いないことをユニットカットという。
通常の運転で行われることはまれであり、電動機に過剰な負担がかかるという点からも望ましい処置ではなく、事故などの際に短期に行われることは見受けられものの、長期では行われることはほとんどない。
例えば、連続14‰の上り勾配を持つ青函トンネルの通過を前提として設計を行った北海道旅客鉄道(JR北海道)の789系電車では5両編成(MT比=4M1T)のうち2組ある動力車ユニット1つが欠けても青函トンネルを通過できる設計とされている。
なお過去には、東日本旅客鉄道(JR東日本)の103系松戸電車区所属車両のように、8M2Tの基本編成と4M1Tの付属編成を連結した場合に全ユニットが制御できないため、付属編成のうち1ユニットの力行機能をカットし、発電ブレーキのみ作動するように改造した例があるが、これは一般的な意味でのユニットカットではなく、電動車の付随車化に近い。

自動車

自動車の場合原動機を持つものを指すが、「動力車」と呼ばれるものはトレーラーヘッド等無動力車を引く牽引車(けんいんしゃ)のみを指す場合が多い。

脚注

関連項目

とうりよくしや

出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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