疎水性(そすいせい、形容詞 hydrophobic、名詞 hydrophobicity)とは、
水に対する親和性が低い、すなわち水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくい物質または分子(の一部分)の性質のことである。
疎水性物質は一般に、電気的に中性の非
極性物質であり、分子内に
炭化水素基をもつ物質が代表的である。
脂質や非極性有機
溶媒との親和性を示す
親油性(しんゆせい、lipophilic)も同義で用いられることが多いが、疎水性物質が全て親油性であるとは限らず、
シリコーンやフルオロアルキル鎖を持つ化合物などの例外もある。
対義語は
親水性(しんすいせい、hydrophilic)である。一般的に極性の高いまたは
電荷を有する化合物は親水性を示す。
分子内にある疎水性、親水性の部分をそれぞれ
疎水性基、
親水性基という。また分子内に疎水性基と親水性基の両方を持つ物質は
両親媒性(りょうしんばいせい、amphiphilic)であるといい、
界面活性剤や
極性脂質が代表的である。
疎水性の高い物質は体内に蓄積しやすく、環境中でも残留しやすい傾向がある。典型的な例としては有機塩素系
殺虫剤DDTや
PCBなどがある。
疎水性の測定
物質の疎水性の程度を表す指標としては、その物質を水と混じりあわない有機溶媒に溶解して水と混ぜ合わせ、
平衡に達したときの双方での濃度の比(有機溶媒中の濃度÷水中の濃度、すなわち
分配係数)、あるいはそれを
常用対数で表示した
LogPを用いる。有機溶媒としてはn-オクタノールを用いることが多く、この場合には
LogPowと書く。また
逆相クロマトグラフィーでも疎水性の程度を知ることができる。
コンピュータで構造からLogPを予測する方法も数多く開発されており、CLogP法やNlogP法などがある。
疎水性相互作用
疎水性相互作用は、水中の疎水性分子の間に働く熱力学的な相互作用である。室温では引力的相互作用である。疎水結合とも呼ばれる。疎水相互作用の最も大きな要因は、非極性分子が水に溶けにくいという
疎水効果であるが、
ファン・デル・ワールス力や
CH/π相互作用なども重要である。詳細はそれぞれの頁を参照。疎水性相互作用は脂質の
ミセルの形成や、
タンパク質の高次構造の形成(フォールディング)において重要な役割を果たしている。
関連項目
出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)