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(左)と、高野川(右)]]
川(かわ)、河川(かせん)とは、水が地表を流れる窪みである河道をいう。
河道は恒久的な構造ではなく、自然の状態では水の各作用、土壌の
浸食・削りだした土砂の運搬・流れが緩やかな部分への土砂の
堆積によって数年から数十年(100年以上も)単位で位置を変える場合がある。特に老年期に達した
準平原では
浸食作用が著しい。河道は通常1本ではなく樹状構造を取り、本流と支流からなる。また、多数の支流を併せ持つ川は、時として複数の
河口を持つ。河道に流れる水すなわち河川水量は、季節によって変動が激しい場合があり、
乾燥気候の土地を流れるものでは一時的に全体が失われることもある。(
枯れ川:wadi)
河川水の源は雨や雪等の降水であるが、降水が直接河川に流れ込む以外に、いったん
湖沼を形成するほか、
寒冷気候では
万年雪や
氷河を形成したり、一端地中に染み込み
地下水(自由地下水)や
湧水として流れ込む場合がある。また、規模の小さな川では、河川水が淡水ではないものもある。
河川の流量
降水量と流量
河川の
流量は、降水量・流域面積・流域の状況によって変化する。河川の流量は次式で表される。
Qy :河川の年間流出量[m3] Q :河川の年平均流量[m3/s] k :流出係数 p :年間降水量[mm] A :流域面積[km2]
流況曲線
河川の流量を多い順に日数で並べたもので、河川の管理に重要なものである。
流況曲線の期間別流量
| |
豊水量 |
平水量 |
低水量 |
渇水量 |
| 最大流量からの日数 |
95 |
185 |
275 |
355 |
| その流量の日数 |
95 |
90 |
90 |
90 |
河川の温度
河川は流域の熱を吸収し、
下流に運搬する作用がある。このため、河川の温度は一般に源流において最も低く、下流に及ぶにつれて上昇する。これは
温帯に限らず、
熱帯、
極地でも成立する。
このため河川流域の
樹木を伐採すると、すばやく熱が河川に運搬されるため、一般に
気温が下がる。これは地表の日照が増えることから気温が上昇するだろうという直感とは逆の結果である。
浸食
日本の山は土石流によって大きく侵食される。
世界の降水量の少ない地域では、寒冷であれば氷河によって、標高が高ければ風によって浸食される。
氾濫
川底に土砂が堆積すると、増水によって川の水が、川道から川周辺に流れ出すことを川の氾濫と言う。
増水が更に増すと洪水となり、洪水が起こると水の流れが今までの川道を外れ、水が今までより更なる低地を流れ始め、新しい川道を作ることがある。
川の用語
日本の川は原則として固有名の後に「川」を付けて呼ばれ、上流の小さな川に「沢(さわ)」を付けて呼ばれるものもある。明治時代の初めまでは「河(かわ)」の字をあてることも多かった。中国語の「河」と「江」は、古代中国において
黄河が河、
長江が江と呼ばれていたことに由来し、それぞれ北方の川と南方の川に付けられる。古い日本語の「河」の字はこれを引き継いだものである。現代では河の字に大河のイメージがあり、修辞的に海外の大河に「河」を付けることもある。
川が地上を流れ始めるところを
源または
水源、その付近の川を
源流という。普通の川は地下水が地上に湧き出る場所を水源として一年中水が流れるが、雨の日や雨季だけ一時的に流れる川もあり、これを
枯れ川(涸れ川、水無し川)という。源流から流れた川は、いくつもの他の川と合わさって低い方に流れ、海や湖沼に注ぎ込んで終わる。そうやって川が終わる地点を
河口という。蒸発や地下への浸透で水を失い、河口を作ることなしに水が途切れてしまう川もある。外見上は水がなくても地下で水が流れている場合もあり、これを伏流という。
湖沼に流れ込む川をその湖沼の
流入河川と呼ぶ。逆に湖沼から流れ出る川は
流出河川である。湖沼が川と比べて小さく、川の途中に湖沼がはさまったとみなされる場合があり、その場合には湖沼への流入地点を河口と呼ぶことはない。これはダム湖の場合に多い。
ある地点からみて、源に近い方を
川上、河口に近い方を
川下という。水が流れてくる方向が川上、流れ去る方向が川下である。また川上を
上流、川下を
下流とすることもある。川の全体を想定して、上流、下流と二分したり、上流、
中流、下流と三分したりすることもある。上流は山地、下流は低地と地形から分けることもある。上流域の段差の激しい河川域を
渓流という。
川は下流に行くに従って、いくつもの他の川と合流して大きくなる。合流する川のうち、より大きく長いものを
本流または
本川とする。このとき本流・本川でないものが
支流または
支川と呼ばれる。ある地点から川の流れが複数に分かれることもあり、この場合、大きいものを本流、本川、そうでないものを
分流または
派川と呼ぶ。本流、支流、分流が一般的な語で、本川、支川、派川は役所の用語である。
本流と支流の判定は、微妙な場合があり、歴史的・社会的事情で小さく短い川が本流とされる場合もある。小さな川が多くなる上流部ではどれが本流か特に決まっていないことも多い。近代以降の日本では本流を一つに決めようとする動きが強いが、南アメリカでは
アマゾン川を代表例として本流・支流の区別に関心が薄い。
流れたり分かれたりの関係を結ぶすべての河川と湖沼を合わせて、
水系と呼ぶ。ある地点に雨が降って地上を流れることを想定したとき、その水は、海に直接流れ込むことがなければ、土地の高低に従っていつも一つの決まった川や湖沼に流れ込む。流れ込み先の川を同じくする地域を、その川の
流域という。
集水域も同じだが、こちらは湖沼についても用いることができる言葉である。通常、流域・集水域の判定ではその川の本流とすべての支流を合計する。
流域面積は、川の規模を表すために長さとともによく用いられる。異なる流域・集水域の境界を
分水界という。分水界が山の連なりである場合、それを
分水嶺と言う。
川下を向いて左側の岸を
左岸、右側の岸を
右岸と呼ぶ。今ではこの見方が定着しているが、
左右を呼び分けるときに川上を向くか川下を向くかは文化に依存する偶然で、北海道には左岸側の支流の名に「右」、右岸側に「左」が付けられる場合と、左岸側に「左」、右岸側に「右」が付けられる場合とが混在している。
川の氾濫を防ぐために、川に沿って土を高く盛ったものが、
堤防である。堤防からみて、川に近い方を
堤外または
堤外地、川から遠い方を
堤内または
堤内地という。人家に近いほうを「内」、遠い方を「外」と見てこのように呼ぶ。堤防は人工物だが、
洪水で土砂が寄せられた結果として自然に細長い土地の高まりができた地形があり、これを
自然堤防という。
治水工事を施された川では、ふだん水が流れている所を
低水路という。水面との高度差がほとんどないがふだんは水が流れていないところを
低水敷という。低水路から一段高く、堤防から一段低い場所を、
高水敷という。低水敷と高水敷はどちらか一方が欠けていることも珍しくない。これらは治水にあたる行政当局の用語で、一般には高水敷を
河川敷と呼ぶことが多い。
日本の川
河川
「河川」とは日本の川や
湖沼など一定の面積を有する
水面を指し示す行政用語である。
法による分類
-
一級河川 - 一級水系内の河川のうち、国土交通省が管理する河川。河川法が適用される。
-
二級河川 - 二級水系内の河川のうち、都道府県が管理する河川。河川法が適用される。
-
準用河川 - 一級河川や二級河川に指定された区間以外で、市町村が管理する河川。河川法が準用されている。
-
普通河川 - 上記以外の区間のうち、市町村が必要と認めれば条例により管理される河川。河川法の適用を受けない。
これらは治水の難度や整備の重要度から判断され分類される。「一級河川」、「二級河川」で指定した河川の区間より上流域を「準用河川」や「普通河川」としたり、逆に上流の名称の異なる河川も含めて「一級河川」や「二級河川」に同じ河川として含める場合がある。従って、これらの指定範囲は実際に呼称される範囲と一致しない場合が多い。
世界の川
開発
治水
台風、集中豪雨などによる
水害から、人命や財産を守るための取り組みを
治水という。
沖積平野のうえに社会を築く日本にとって、治水は古来不可避の課題であった。
利水
河川を流れる水は、
生活用水、
工業用水、
水力発電、
農業用水といった用途に利用できる貴重な
資源である。利水のために、
ダム、
堰(せき)、
用水路、
河口堰などの施設を建設する。
戦後の日本では
1947年、電源開発促進法が制定され、復興のためのエネルギー供給源として河川が利用された。
高度経済成長期には、大都市圏での水需要が急速に高まり、水資源供給の安定の向上が求められた。
1961年、「水資源開発水系」ごとの開発計画を決定・実行していくことを目的として、
水資源開発促進法および水資源開発公団法が制定された。しかし、急激な水需要にダム建設などの対策は間に合わず、福岡、高松、松江などの各地で
水不足が生じた。
水運
河川は古くから船舶による交通路として用いられてきた。他の交通手段として馬車程度しかなかった時代には、船舶での交通は多くの物資や重量物を運搬するのに最適であり、川を下る場合には高速な手段でもあった。そのため、利水のほか
水運も都市の形成にとって重要な要素であり、物資の運搬に有利であることが、河川沿いに多くの都市が発展した理由の一つである。
特に大きな船舶も航行可能な水量の豊かな河川は、内陸部の物資輸送に大きな役割を果たし、大陸を流れる大きな河川は、いずれの国においても重要視されてきた。例えば
ライン川の水運は
ドイツの代表的な
工業地域である
ルール工業地域の発展に貢献している。また、水運の利便性向上の為、河川の
浚渫や、河川に繋がる
運河の建設も、広く行われている。
特にヨーロッパでは、
ドナウ川などのように複数の国家の領土内を流れる河川があり、沿岸の国が
条約を締結して、沿岸のどの国の船舶でも自由に航行できることとした
国際河川がある。
日本においても、水運は主要な交通手段の一つであり、例えば
安曇川などの多くの河川で、上流で伐採した木材を下流に流す、いかだ流しなども行われていた。また
利根運河など水運のための運河建設も行われた。しかし、日本では河川が急流であり川幅も狭く、季節による流量の変化も大きく、四方を海に囲まれているため海運が発達したこと、また、日本が近代化を迎えた時には既に
鉄道が開発されていたこともあって、ヨーロッパ諸国ほどの水運の発展は見られなかった。
現在では、アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国においても、船舶の大型化や鉄道・
トラック輸送との競合により水運の重要性は低下している。
河川の環境
日本では1950年代から1960年代の
高度経済成長期に、産業排水、生活排水が直接川に流されたため、水質汚染が深刻になった。これはまず公害病と悪臭の問題として取り上げられ、
1970年制定、翌年施行の
水質汚濁防止法などの対策がとられた。また、河川は人が自然と身近に触れ合うことのできる場であったが、都市化と治水を優先するあまり、河川をコンクリートの壁で隔てたり地下に通したりして、憩いの場とはいえなくなった。治水が一段落し、水質改善のめども立ちはじめた1980年代には、このような状況を改善するために親水空間の創出を意識した河川計画が立てられるようになった。さらに河川・河畔の生態系が重要だと考えられるようになると、
1990年の建設省河川局の通達「多自然型川づくりの推進について」を転機にして、多自然型川づくりが今後の河川計画の基本とされるようになった。また、近年は河川の
水質環境基準を達成していることが多くなり
類型の見直しなどにより、さらに水質の改善が図られている。
川の生物
川には、様々な特有の生物相がある。
中流域では、河原が広く、水流は遅いものの川底は小石が露出している。このような区域では河原には
ヤナギのような樹木を含む特有の植物群が発達し、川底には珪藻が付着する。動物では
カワセミなどの鳥類、
アユや
オイカワなどの魚類、それにカワゲラ、カゲロウなどの
水生昆虫が多数生息する。
下流域では流れは遅く、川底は砂泥質となる。川沿いには
ヨシやマコモなどの水生植物が茂る。動物では
アオサギやコサギなどが水辺に住み、ヨシ原には小鳥が住み着き、
カモや
シギなどの
渡り鳥が立ち寄る場となる。また、
フナや
コイなど止水と共通の魚や、河口ではボラなど汽水性の魚が入り込む。
シラウオなども下流から河口域の魚である。
昆虫では泥質の川底には
ユスリカなどが住み、魚の餌として重要な役割を果たす。またサメなど本来海に生息するはずの魚が現れる事もある。
底生動物の中で、
昆虫が大きな比重を占めるのは、河川の大きな特徴となっている。これらは採集、同定が比較的簡単である上、
富栄養化の状態や汚染によって大きく影響を受け、その種組成がはっきりと変化することが知られているので、環境調査の上でとても重要な役割を果たしている。
関連項目
脚注
外部リンク
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