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四日市ぜんそく

四日市ぜんそく(よっかいち-)は、三重県四日市市1960年から1972年にかけて発生した大気汚染による集団喘息障害である。四大公害病の一つ。

原因

四日市市で四日市第1コンビナートが操業を始めた事により排出された硫黄酸化物SOx)や窒素酸化物(NOx)などによる大気汚染。

症状

息苦しくて、が痛み、激しい喘息発作が起こる。症状がひどいと死に至る。

事件の流れ

1960年に海沿いに石油コンビナートが建設されたことが発端となる。煙突から煙を吐き、昼夜を問わず光とともに稼動する大工場は当初は街の誇りであった。このことはコンビナートのすぐ近くにあった塩浜小学校の校歌にも「科学の誇る工場」と歌われていたことからわかる。この校歌は保護者の抗議を受けて変えられた。
しかし工場が稼働を開始してからほどなくして街の空は曇り始め同時にぜんそく患者が急増した。この当時は公害への認識がなかったうえに、経済の発展を優先していたため行政も企業に加担していたことが多かった。そのため、対策が施されることもなく、汚染物質がそのまま排出されていた。街には悪臭が広がり、海では汚染された魚が獲れるようになった。工場に最寄りの塩浜地区ではばい煙、騒音などの問題を市に訴え、対策委員会が発足するもコンビナートは規模を大きくする一方だった。それにより住民の生活環境はさらに悪化し、ついに公害での死者も出た。1967年9月に公害病認定患者9人がコンビナート6社を相手に提訴。

対策

四日市市公害病と認定した市民に対し、市費で治療費を補償する制度を1965年に開始。当時は国側にも公害患者公費で救済する制度はなく、市の試みは全国初だった。認定患者の数は同年5月に行われた第一回の審査の時は18人だったが、1967年6月末には381人、1970年9月末には544人と急増。患者の増加に市だけでは治療費を負担できなくなり、企業も分担金を出すようになった。
四日市市大気汚染を改善したのは、実は高煙突ではなく、脱硫装置の普及、より硫黄分の少ない原油への切り替えだった。この2つは硫黄酸化物削減法としては、当時最も効果的であった。国と企業は硫黄分の少ない原油の輸入を増やすと同時に脱硫装置の開発を研究した。四日市コンビナートでは、 1969年大協石油(現・コスモ石油)が初めて設置し、効果を上げた。
このような脱硫対策が実現した背景には、硫黄鉱山採掘するよりも安価で手に入るという事情があった。これが実現するとともに硫黄鉱石の需要がなくなり、日本の硫黄鉱山は1960年代以降に閉山へと追い込まれたのであった。

その後

厚生省(現・厚生労働省)は、疫学的な手法で大気汚染による呼吸器への影響調査・検証を行い、その結果、高い有症率と大気汚染の関係を立証した。1967年には患者達により四日市ぜんそくの民事訴訟が提訴され、1972年に地方裁判所四日市支部は被告6社(石原産業中部電力、昭和四日市石油、三菱油化、三菱化成工業、三菱モンサント化成)の共同不法行為を認め賠償を命じた。典型的な高度経済成長期の『公害』で、日本初の本格的な大気汚染訴訟であり結果的に住民側が全面勝訴したこともあって、その後の日本の環境政策の拡充に大きな影響を与えた。
判決文では、無計画に工場建設を容認した三重県・四日市市にも反省を促している。またこの中で、工場が1年間に排出できる煙の量を決定しており、これが大気汚染防止法の「総量規制」に繋がる。
近年ではその反省から、官民共同で設立された国際環境技術移転研究センターを中心に、発展途上国に対して公害・環境問題の指導・研修を実施している。
2007年 7月、報道によると、四日市ぜんそくの認定患者の総認定数を、同市のウェブサイトに、誤って約500人少なく掲載し、同月23日に訂正していたことが発覚した。同市のこの姿勢について、「公害問題の風化」を懸念する意見が出ている。

関連項目

急速な工業化・都市化が引き起こした、世界最悪の大気汚染公害。四日市ぜんそくと同じくSOxを主原因とする
四日市ぜんそくが社会問題化した少し前に、同じように急速な工業化によって深刻な大気汚染を引き起こし、世界的に注目された。当時その改善のために先例を学ぼうと四日市市へ研修に訪れる研究者も多かった
三重県議会議員。高校教諭時代から一貫して四日市ぜんそく問題に取り組んだ。

外部リンク


出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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