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金田一耕助

金田一 耕助(きんだいち こうすけ)は横溝正史推理小説に登場する架空の探偵。ボサボサ頭にお釜帽(フェルト帽)をかぶり、セルの袴に下駄履きといった姿が印象的である。

人物

容姿

身長は5尺4寸(163.6cm位)、体重は14貫(52.5kg位)を割るだろうという。雰囲気がコウモリに似ているといわれた事がある(「蝙蝠と蛞蝓」より、稲垣版「悪魔が来りて笛を吹く」の冒頭でも進駐軍兵士から「Bat Man」と呼ばれている)。至って平凡な顔立ちであり、体躯は貧相で、本人もそれに対し劣等感を抱いている描写が作品中多々見受けられる。「本陣殺人事件」ではA・A・ミルンの「赤い館の秘密」に登場する素人探偵アントニー・ギリンガムになぞらえられている。
持ち物はトランクのイメージが強いが、原作では「ボストンバッグ」や単に「かばん」と表記されているので、具体的にトランクかどうかは指定されていない(「獄門島」では帰還兵らしく雑嚢を持っている)。また、金田一のデビュー作「本陣殺人事件」や「黒猫亭事件」などの初期の作品と、最終作「病院坂の首縊りの家」ではステッキを持っている。

言動

興奮するとスズメのようなモジャモジャ頭を掻きまわし、言葉が吃りはじめる(ただし、原作中においては映画・テレビなどのように頭を掻くときに大量のフケが落ちるという描写はあまりない)。また、何か重大な発見をした場合、口笛を吹くように口をすぼめたり、実際に口笛を吹くクセももつ。
いつもは眠そうな、ショボショボとした目つきをしているが事件の渦中にあって、かつ自身が強く興味を持った事に対しては真剣な目つきに変わるという。
発言も、普段は控えめでのらりくらりとしており、おおむね犯人や登場人物の行動がそこに至るまでの苦悩を思い、憐憫の情を示すような口ぶりをするが、犯人の動機や関係者の行動が著しく非社会的・非人道的で、狡猾かつ独善的な場合にはより強く厳しい発言・批判を浴びせる。
事件が解決すると、強い興味を引く目的がなくなって一種のメランコリー(憂感)に襲われるため、ふらりと旅に出てしまう。

趣味・嗜好

趣味は映画や絵画鑑賞(「仮面舞踏会」など)、歌舞伎鑑賞もする(「女王蜂」「幽霊座」)。スポーツの方は苦手で、「仮面舞踏会」ではゴルフに誘われた際に「運動音痴、すなわちウンチ」と発言している。ただし、ボートを漕ぐ事と、東北出身である事からスキーは得意。
ヘビースモーカーで、いつも灰皿が吸殻の山になっている。銘柄は「ピース」と「ホープ」を愛煙する(横溝が「ホープ」を愛煙していた)。戦前は「チェリー(CHREEY)」を愛煙していた(「本陣殺人事件」)。
酒は自らすすんでは飲まないようだが、下戸ではない。磯川警部と食事をしながらビール瓶を2・3本開けたり(「湖泥」「悪魔の手毬唄」)、大きな徳利を数本あける。また、等々力警部とはいきつけのクラブ「スリーX」があり(「白と黒」)、また風間俊六の愛人が経営している「クラブKKK」もあるが(「病院坂の首縊りの家」など)、後者の方はもっぱらクラブの用心棒であり、金田一の手駒である多門修に偵察を依頼したり、情報を収集しに行ったりするのがほとんどのようである。
食事はアメリカ帰りからか洋風。トースト・卵(ゆで卵)・牛乳が中心で、他にもサラダや果物、アスパラガスの缶詰などを好んで食べている。少食で、食事シーンは大食漢の等々力警部と対照的に描かれる。

命名

作者・横溝正史のエッセイ「金田一耕助誕生記」によれば、金田一耕助の風体は劇作家の菊田一夫がモデル(著書『金田一耕助の帰還』でも「一見小柄で貧相だが、うちに大いなる才能を秘めた人物」としてモデルにした旨が記されている。)であり、名前も当初は「菊田一○○」と付けようとしていたという。だがこれは菊田に失礼だろうという事で取り止めた。
そこで横溝は、疎開前に住んでいた東京・吉祥寺隣組にいた、言語学者金田一京助の弟金田一安三(やすぞう)の表札を見ていた事から前述の“菊田一”に近い苗字である“金田一”を取り、名前は“京助”を捩って“耕助”と付けた。また耕助の興奮すると頭を掻く癖は横溝自身の癖を誇張したものだそうである。

家族・知人

両親とは探偵稼業を始める前に死別しているらしいことが、「仮面舞踏会」中の金田一のセリフからうかがえる。
生涯独身であったとされるが、作品中で金田一耕助が思いを寄せた女性は二人いる。「獄門島」の鬼頭早苗と「女怪」の持田虹子である。

事務所

住居・事務所は、復員後は京橋裏の「三角ビル」の最上階に、探偵事務所兼住居を持っていた(「黒蘭姫」)が、後(昭和22年ごろ)には中学の同級生で建設会社社長の風間俊六が愛人(作中では「2号さん」)に経営させている大森の割烹旅館「松月」に居候する。
昭和23年ごろになると銀座裏にあるビル(三角ビルと同一と思われる)の最上階に事務所を開業(「死仮面」「女怪」)し、その際は住居を別にしている。昭和29年〜32年ごろ、さらに住居を世田谷区緑が丘の緑ヶ丘荘に定め、ここが「最後の住処」となった。(引越しの時期を昭和32年とする説も有力で、経歴では昭和32年説を採用)

経歴

  • 東北地方に生まれる。
  • :金田一耕助の誕生日は不明だが、横溝正史は読者との座談会で、金田一は早生まれであると語ったことがある。
  • :つまり同級生は明治45年1912年)度の生まれということになる。
  • :「犬神家の一族」では、金田一本人が、東北生まれでスキーも得意と述べている。
  • 4月、地元の中学を卒業後18歳で同窓生の風間俊六と共に上京し、神田で下宿しながら私立大学(日本大学予科の薬学系という説がある)に籍を置く。中学時代の先輩の大学生の紹介で歌舞伎役者・佐野川鶴之助の後援会である丹頂会に入会。また、この時期に映画女優・紅葉照子のファンになる。
  • 渡米し、その先で映画俳優・ジャック安永と知り合う。皿洗いなどを経験しながら一時は麻薬の悪癖に溺れるが、19歳のときにサンフランシスコで殺人事件を解決する。このとき在留日本人会の席上で出会った岡山県の果樹園主、久保銀造に学資を援助してもらい、また当人も夜間は病院に勤務して看護士の見習いをしながらカレッジに通う。
  • カレッジを卒業して帰国。久保銀造から5千円(当時の相場参考:国鉄初乗り5銭、銭湯7銭)の援助を受けて探偵事務所を開設。開設後半年ほどは依頼人もなく商売にならなかったようだが、やがて立て続けに大きな事件を解決して、“名探偵・金田一耕助”の名を世に知らしめた。また、この時期に同窓生だった風間俊六と再会している。
  • :ちなみに、クイズ番組「クイズ$ミリオネア」では「金田一耕助が最初に探偵事務所を開いた場所は日本橋」とされたが、東京で事務所を開設したことは間違いないが、それが「日本橋」であるとの記載はどこにもない。
  • 8月25日、稲妻座の歌舞伎役者失踪事件。
  • 11月27日〜29日、「本陣殺人事件」を解決。この事件で岡山県警の磯川常次郎警部と知り合う。
  • 復員。戦友の依頼により「百日紅の下にて(9月初旬)」「獄門島(9月下旬〜10月上旬)」「車井戸はなぜ軋る」などの事件を解決。「獄門島」事件にて鬼頭早苗と知り合い、懸想するも振られる。
  • 10月上旬に岡山の探偵作家・Yを訪ね、伝記作家として親交を持つ。また、帰郷する汽車の中で風間俊六と再会。この頃に京橋裏(銀座裏)の三角ビル5階に「金田一耕助探偵事務所」を開設する。
  • :作中では、金田一の伝記作家の実名は登場しないため、横溝正史本人であるともないともいえる。
  • 11月中旬「蝙蝠と蛞蝓
  • 三ヶ月ばかりで事務所を閉めてしまい、風間の二号(愛人)節子の営む大森の割烹旅館『松月』の離れに転がり込む。
  • 3月下旬「暗闇の中の猫(原題「暗闇の中にひそむ猫」)」を解決。この事件で警視庁の等々力大志警部と知り合う。
  • 3月26日、28日〜30日「黒猫亭事件(原題「黒猫」)」
  • 4月中旬〜26日「殺人鬼
  • 9月28日〜10月11日「悪魔が来りて笛を吹く
  • 11月中旬「黒蘭姫」
  • 夜歩く(5月5日〜9日)」「八つ墓村(5月中旬〜9月初旬)」事件を解決し、多額の金をふところにした金田一耕助は、探偵作家・Yと伊豆へ旅行する。
  • 9月初旬、10月初旬・中旬、12月、翌年1月「女怪」解決。「女怪」事件の関係者・持田虹子に懸想するも、虹子は自殺。
  • 女怪」事件で受けた失恋の痛手で、一ヶ月ほど北海道を放浪する。
  • 秋「人面瘡
  • 10月上旬・中旬、11月1日〜3日「死仮面」
  • 10月18日〜12月15日「犬神家の一族
  • 11月5日〜8日「鴉」
  • 3月下旬「仮面城」
  • 4月上旬「大迷宮」
  • 5月上旬、17日〜31日、6月6日〜中旬「女王蜂
  • 7月上旬・中旬「金色の魔術師」
  • 7月下旬「燈台島の怪」
  • 9月1日〜7日、13日、10月中旬「黄金の指紋(原題「皇帝の燭台」)」
  • 7月下旬〜8月2日「幽霊座」
  • 10月17日〜18日「湖泥
  • 11月6日、20日、28日、翌年1月10日「睡れる花嫁(原題「妖獣」)」
  • 1月「黄金の花びら」
  • 6月9日、中旬「花園の悪魔」
  • 7月15日〜27日、9月上旬「不死蝶」
  • 8月21日、29日、9月4日、7日、20日、21日「病院坂の首縊りの家
  • 9月3日、15日「生ける死仮面」
  • 3月24日、25日、4月25日、5月3日〜下旬「幽霊男
  • 5月12日、24日、28日「堕ちたる天女」
  • 5月末「廃園の鬼」
  • 6月中旬〜10月中旬「迷路の花嫁」
  • 8月下旬「蜃気楼島の情熱」
  • 10月23日、24日「
  • 7月25日〜8月24日、9月21日「悪魔の手毬唄
  • 10月3日、16日、30日、11月3日、8日、翌年2月中旬「三つ首塔
  • 10月25日、26日、12月15日、翌年1月中旬・下旬「吸血蛾」
  • 3月5日〜中旬「蝋美人」
  • 3月8日、15日「毒の矢」
  • 3月中旬、4月5日「黒い翼」
  • 3月下旬、4月中旬・下旬「死神の矢」
  • 7月29日、30日「夢の中の女」
  • 8月初旬〜下旬「鏡が浦の殺人」
  • 8月末「傘の中の女」「七つの仮面
  • 秋に「華やかな野獣」
  • 11月7日、12月10日「霧の中の女」
  • 11月24日〜30日、12月5日「トランプ台上の首」
  • 秋から12月20日〜26日、翌年1月末「女の決闘(原題「憑かれた女」)」
  • 1月中旬、『松月』の離れから世田谷区緑ヶ丘町の高級アパート・緑ヶ丘荘の二階三号室に転居する。
  • 3月2日、4日〜上旬「泥の中の女(原題「泥の中の顔」)」
  • 3月20日、25日「洞の中の女」
  • 4月5日、12日、5月5日「鞄の中の女」
  • 5月上旬、16日、18日「鏡の中の女」
  • 5月7日〜15日、31日、6月15日〜17日「魔女の暦」
  • 6月上旬「貸しボート十三号」
  • 7月末〜8月6日「赤の中の女」
  • 8月20日〜25日、9月18日、20日、10月上旬「支那扇の女」
  • 秋に「檻の中の女」
  • 12月20日、25日、翌年1月下旬「悪魔の降誕祭
  • :「支那扇の女」では『ギャバのズボンに濃い紺地の開襟シャツといういでたち』で、『貧弱なサラリーマンにしか見えない』と等々力警部に笑われる金田一の格好を見ることができる。
  • 3月18日、25日「柩の中の女」
  • 5月19日〜21日、28日「火の十字架」
  • 5月25日「薔薇の別荘」
  • 5月28日「瞳の中の女」
  • 6月29日、7月25日、26日、8月15日、16日、9月4日、5日、10日、18日、10月下旬「悪魔の寵児」
  • 8月16日、17日「香水心中」
  • 9月中旬「霧の山荘
  • 10月5日〜12日、18日、23日、25日〜28日「迷宮の扉」
  • 3月上旬〜4月上旬は関西方面へ。
  • 4月5日、26日〜28日「壺中美人」
  • 7月25日、26日、8月5日「スペードの女王」
  • 12月22日〜24日、28日「扉の影の女(原題「扉のかげの女」)」
  • 6月5日、8日「猫館
  • 6月22日〜25日、7月22日、8月12日「悪魔の百唇譜」
  • 8月5日、7日、9日、15日「雌蛭」
  • 8月14日〜16日「仮面舞踏会
  • 9月27日、10月1日、11月3日「日時計の中の女」
  • 10月11日、30日〜11月1日、4日、6日「白と黒
  • 11月25日、26日、12月3日、5日、6日、24日〜27日、翌年1月23日、24日「夜の黒豹(原題「青蜥蜴」)」
  • :「雌蛭」では、『鼠色のズボンに派手なチェックのアロハ、ベレー型のハンチングにべっ甲縁の眼鏡』という妙な格好の金田一を見る事ができる。
  • 2月19日、23日「蝙蝠男」
  • 最後の事件「病院坂の首縊りの家」4月1日、8日〜15日、23日、30日解決。その後ロサンゼルスへ。関係者が八方手を尽くして捜したが消息不明であった。
  • :しかし、横溝本人の語るところによれば昭和50年に帰国しており、余生は日本で送ったようだ。

語られざる事件

  • サンフランシスコの日本人間で起きた、危うく迷宮入りをしそうになった奇妙な殺人事件(「本陣殺人事件」第八章より)。
  • :芦辺拓が「《ホテル・ミカド》の殺人」として、また琴代智が「桑港の幻」として小説化している。
  • 全国を騒がせていた某重大事件(「本陣殺人事件」第八章より)。
  • 昭和12年、大阪で起きたむつかしい事件(「本陣殺人事件」第八章より)。
  • :芦辺拓が「明智小五郎対金田一耕助」として小説化している。
  • 昭和12、3年ころ、等々力警部と知り合うきっかけとなった事件(「悪魔が来りて笛を吹く」第七章より)。
  • :この事件で金田一耕助と等々力警部が知り合ったとされるが、「暗闇の中の猫」では二人は昭和22年にはじめて出会ったことになっている。
  • 東京で起きたむつかしい事件。およびその事件を解決後、訪れた岡山で待ちかまえていた厄介千万な殺人事件(「人面瘡」第一章より)。
  • :この二つの事件を「夜歩く」と「八つ墓村」の事件であるとする説もある。
  • 芝居に関する調査で劇評家佐藤亀雄に話を聞いた件(「幽霊座」第四章より。調査とあるので事件ではない可能性もある)。
  • :佐藤亀雄のモデルは安藤鶴夫。横溝正史が「幽霊座」執筆の際、鯉つかみの仕掛けについて安藤より教示を得たことに対する謝辞として、作中に登場させたものであろう。
  • 畔柳博士に二三度法医学上の意見を求めた事件(「蝋美人」第一章より)。
  • 古館博士と知り合いになった、あるむつかしい事件(「死神の矢」第一章より)。
  • リップリーディングの技術を身につけた、増本女史の協力を仰いだ、いくつかの事件(「鏡の中の女」第一章より)。
  • 神門一族の冤罪事件。(「貸しボート十三号」第十二章。「女の墓を洗え」として執筆予定だったとの説もある)。
  • 刺青の第一人者・彫亀に鑑定の出馬をあおいだ、ある重大事件(「スペードの女王」第一章より)。
  • :この事件を「三つ首塔」とする説もある。
  • 多門修が犯人に仕立て上げられるのを助けた事件(「支那扇の女」第十五章より)。
  • バーの女給・ハルヨを助けた事件(「扇の影の女」第一章より)。
  • 三芳欣造の友人にあたる芸術家を救った事件(「毒の矢」第一章より)。
  • 昭和25年、神戸の王文詳を助けた事件(「悪魔の百唇譜」第十二章より)。
  • 昭和27年、相馬良作を救った事件(「夜の黒豹」より)。
  • 昭和33年、考古学的な知識を必要とし、的場英明の教示を得た事件(「仮面舞踏会」第三章、第十六章より)。
  • 昭和43年、等々力警部が検挙した容疑者に金田一耕助が疑問を持ち、ライバルとなって捜査に乗り出した事件(「女の墓を洗え」として執筆予定だったとの事)。
  • 昭和44年、岡山・東京にまたがる大事件。磯川警部と等々力警部が協力(「千社札殺人事件」として執筆予定だったとの事)。

登場作品リスト

長編

短編

ジュヴナイル作品

  • 大迷宮
  • 仮面城
  • 黄金の指紋
  • 金色の魔術師
  • 燈台島の怪
  • 迷宮の扉
  • 黄金の花びら
一部の作品では、初出時の版には金田一が登場しておらず、後年の改稿に伴って登場することになった。

その他

パスティシュ

他作品への登場

有名な探偵なので、多くの作家の作品に金田一耕助は登場している。
また、昭和50年代の横溝ブームを引き起こした角川書店より、贋作集が二冊刊行されている。 「金田一耕助の新たな挑戦」 「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」

殺人防御率

本の雑誌編集部編「活字探偵団」によれば、金田一耕助は事件に乗り出してから、次の犠牲者がでるのを防ぐ「防御率」の一番低い探偵ということになっている。防御率の算出方法は、「主要10作品を選定し、探偵が事件に関与してから、解決するまでに起きた殺人件数を作品で割る」というもの。ただし、「八つ墓村」「三つ首塔」「悪魔が来りて笛を吹く」等の大量殺人が含まれているために、防御率が低くなるのも当然といえるだろう。ちなみに、対象を全77作品で算出した結果は1.5であり、一概に「防御率が低い」とはいえないのである。また、トリック等の解明後に犯人が自殺する事も多い。ちなみにこの事に関して直接的なものとはいえないが、爆笑問題太田光は探偵の話題で金田一の防御率に関する話題になった際に「俺は事件が起きて『しまった〜』なんていう探偵には絶対に依頼しない・事件を止められない上に犯人も殺しちゃう」など自身の書籍で語っていた。
映画「金田一耕助の冒険」では、それらに対して「もうあと4、5人は死にそう」「どこまで殺人が行われるか見守りたい」等の、一つの解答とも皮肉とも取れるセリフがある。

漫画化作品

原作の漫画化作品としては影丸穣也の『八つ墓村』『悪魔が来りて笛を吹く』(講談社刊)、ささやななえ(現ささやななえこ)の『獄門島』『百日紅の下にて』、つのだじろうの『八つ墓村』『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』、たまいまきこの『女王蜂』『悪霊島』、JETの『本陣殺人事件』『犬神家の一族』『八つ墓村』『獄門島』『悪霊島』『悪魔の手毬唄』『悪魔が来りて笛を吹く』『悪魔の寵児』『睡れる花嫁』(いずれも角川あすかコミックス刊)等が刊行されている。
秋田書店「サスペリアミステリー」誌が、2002年の創刊より2006年頃まで、毎月のように横溝作品を漫画化していた。この中では長尾文子による漫画化作品がもっとも作品数が多い(『睡れる花嫁』『迷路荘の怪人(「迷路荘の惨劇」原形作品)』『不死蝶』『犬神家の一族』『本陣殺人事件』『獄門島』『悪魔の手毬唄』『八つ墓村』『』)。
「サスペリアミステリー」では、ほかにも秋乃茉莉、池田恵、児嶋都高橋葉介永久保貴一などが金田一作品を漫画化している。
ほかに金田一作品を漫画化した漫画家として、いけうち誠一、岩川ひろみ、小山田いく、掛布しげを、直野祥子、前田俊夫などがいる。
なお、漫画『金田一少年の事件簿』の主人公金田一一(はじめ)は、彼の孫という設定となっている。しかし、作品を描く際に横溝の遺族の承認を取っていなかったため、連載中期以降はこの設定が控えられがちとなった(「金田一耕助(じっちゃん)の名にかけて」が「ジッチャンの名にかけて」へ変更など)。

演じた俳優

金田一耕助は何度か映画やテレビドラマの題材として使用され、彼を演じた俳優は石坂浩二古谷一行片岡鶴太郎など幅広い。
「初代」金田一耕助である片岡千恵蔵については、スーツにソフト帽でピストルを振り回している姿が時折り揶揄の対象となるが、ここでの金田一は、戦前の因習にとらわれた封建的な動機による殺人を、戦後の民主的な精神によって断罪する「民主主義の使者」として描かれており、アメリカ帰りという設定ともども、スーツ姿は民主主義の象徴として必然であった。この当時金田一耕助を演じた俳優として岡譲司、河津清三郎池部良高倉健などがいるが、1966年を境にしてスーツ姿の金田一は姿を消し、1975年に再登場した時はジーンズにベストというヒッピー風のいでたちであった(中尾彬)。また、この1年後に「角川春樹事務所」&「東宝」製作の金田一シリーズが発表され、はじめて原作に忠実なスタイルが登場、以後定着する。 石坂の原作に沿った扮装の金田一登場以降も、麦わら帽子にくたびれたジャケット(渥美清)や、スーツ姿(愛川欽也)、蝶ネクタイに丸眼鏡、ハンチングをかぶっている(中井貴一)など、独特の工夫を凝らした金田一耕助がいる。
最もハマリ役だった金田一俳優は現在のところ映画版の石坂、ドラマ版の古谷といった評価が一般的なようだ。前者は繊細で透明感のある金田一、後者は骨太で温かみのある金田一を演じ、各々映画の大ヒットやドラマシリーズの高視聴率で人気を博した。1990年以降の作品では豊川悦司上川隆也稲垣吾郎などが金田一を演じており、新たな金田一像は今も模索され続けている。彼らの金田一の演技に関しては、長期に愛されてきたシリーズ特有の、世代に応じた賛否両論があるようだ。
2006年に市川崑監督によって「犬神家の一族」が角川映画30周年記念作品としてリメイクされる事となり、主演として第1回角川映画版の主役である石坂浩二が再演している。それを記念して石坂浩二によって「金田一です。」という金田一論を書いたエッセイも発売され、金田一ファンの興味をひいている。
また、パロディとしてザ・ドリフターズ志村けんおよび加藤茶や、井上順ビートたけしそのまんま東内村光良などが金田一を演じた事もある。

映画版

  1. 片岡千恵蔵
  2. :三本指の男(本陣殺人事件) 1947年
  3. :獄門島(前後編) 1949年
  4. :八ッ墓村 1951年
  5. :悪魔が来りて笛を吹く 1954年
  6. :犬神家の謎・悪魔は踊る(犬神家の一族) 1954年
  7. :三つ首塔 1956年
  8. :いずれも製作は東横映画(現東映)。監督は松田定次
  9. 岡譲司
  10. :毒蛇島奇談・女王蜂 1952年 田中重雄監督 大映(岡譲二はこの作品から譲司と改名)
  11. 河津清三郎
  12. :幽霊男 1954年 小田基義監督 東宝
  13. 池部良
  14. :吸血蛾 1956年 中川信夫監督 東宝
  15. 高倉健
  16. :悪魔の手毬唄 1966年 渡辺邦男監督 東映
  17. 中尾彬
  18. :本陣殺人事件 1975年 高林陽一監督 ATG
  19. 石坂浩二
  20. :犬神家の一族 1976年
  21. :悪魔の手毬唄 1977年
  22. :獄門島 1978年
  23. :女王蜂 1978年
  24. :病院坂の首縊りの家 1979年
  25. :犬神家の一族 2006年
  26. :製作は「犬神家の一族」(1976年)のみ角川春樹事務所(東宝配給)、他の5作は東宝。監督は市川崑
  27. 渥美清
  28. :八つ墓村 1977年 野村芳太郎監督 松竹
  29. 西田敏行
  30. :悪魔が来りて笛を吹く 1978年 斉藤光正監督 東映・角川
  31. 古谷一行
  32. :金田一耕助の冒険 1979年 大林宣彦監督 角川映画
  33. 鹿賀丈史
  34. :悪霊島 1981年 篠田正浩監督 東映・角川
  35. 豊川悦司
  36. :八つ墓村 1996年 市川崑監督 東宝・フジテレビ

テレビドラマ版

  1. 岡譲司
  2. :犯人と毒薬(オリジナル)
  3. :無言の証人(オリジナル)
  4. :花と注射器(オリジナル)
  5. :霧の中の女
  6. :ある夫婦(オリジナル)
  7. :釣堀に現れた女(オリジナル)
  8. :泥の中の顔(原作『泥の中の女』の原題)
  9. :深夜の客(オリジナル)
  10. :アパートの3階の窓(オリジナル)
  11. :棄てられたダイヤ(オリジナル)
  12. :カバンの中の女(原作『鞄の中の女』)
  13. :いずれも「月曜日の秘密シリーズ」として1957年2月18日〜4月29日に放映されたもの。
  14. 船山裕二
  15. :ミステリーベスト21・白と黒 1962年
  16. 金内吉男
  17. :怪奇ロマン劇場・八つ墓村 1969年
  18. 古谷一行
  19. :横溝正史シリーズ 1977年〜1978年
  20. :TBSスペシャルドラマ 1983年〜2005年(古谷一行の金田一耕助シリーズ参照)
  21. 愛川欽也
  22. :土曜ワイド劇場・横溝正史の吸血蛾 1977年
  23. 小野寺昭
  24. :土曜ワイド劇場・横溝正史の真珠郎 1983年
  25. :土曜ワイド劇場・名探偵金田一耕助・仮面舞踏会 1986年
  26. :土曜ワイド劇場・名探偵金田一耕助・三つ首塔 1988年
  27. :土曜ワイド劇場・名探偵金田一耕助・夜歩く女 1990年
  28. 中井貴一
  29. :犬神家の一族 1990年
  30. 片岡鶴太郎
  31. :フジテレビスペシャルドラマ 1990年〜1998年(片岡鶴太郎の金田一耕助シリーズ参照)
  32. 役所広司
  33. :女王蜂 1990年
  34. 上川隆也
  35. :女と愛とミステリー金田一耕助ファイル・迷路荘の惨劇 2002年
  36. :女と愛とミステリー金田一耕助ファイル・獄門島 2003年
  37. 稲垣吾郎
  38. :フジテレビスペシャルドラマ 2004年〜(稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ参照)

番外篇ドラマ

  1. 長瀬智也
  2. :土曜ワイド劇場・明智小五郎VS金田一耕助 2005年

TVCM

  1. 木村拓哉 (OCN、1998年)
  2. 田辺誠一 (野村證券、2000年)

舞台版

  1. 並木瓶太郎
  2. :獄門島 1948年
  3. 古谷一行
  4. :『悪魔の手毬唄』より〜探偵 金田一耕助の恋 1988年
  5. :犬神家の一族 1993年・1994年
  6. :女王蜂 1996年
  7. 盛本健作
  8. :獄門島 1993年
  9. 田村亮
  10. :『悪魔の手毬唄』より〜探偵 金田一耕助の恋 1995年
  11. 野口聖員
  12. :贋作・犬神家の一族 2001年
  13. 青木奈々
  14. :百日紅の下にて 2002年
  15. 太平
  16. :殺人鬼 2003年
  17. :白と黒 2004年
  18. :三つ首塔 2005年
  19. :ひとり八つ墓村 2007年
  20. 林正樹
  21. :百日紅の下にて 2003年
  22. 浦田克昭
  23. :幻夏の見返り死人(「薔薇の別荘」より) 2006年

ラジオドラマ版

  1. 高塔正康
  2. :獄門岩(原作『首』) 1957年
  3. :悪魔のクリスマス(原作『悪魔の降誕祭』 1957年
  4. :花園の黒蝶(原作『花園の悪魔』 1958年
  5. :廃屋の鬼(原作『廃園の鬼』 1958年
  6. :カルメンの死 (由利麟太郎主役のものを変更) 1958年
  7. :黒百合姫(原作『黒蘭姫』 1958年
  8. :黒猫亭事件 1958年
  9. :壺を持つ女(原作『柩の中の女』 1958年
  10. :扉の中の女(原作『扉の影の女』 1958年
  11. :いずれもニッポン放送の「金田一耕助探偵物語」として放送されたもの。
  12. 宍戸錠
  13. :悪魔が来りて笛を吹く 1975年 NHK連続ラジオ小説
  14. 佐藤英夫
  15. :鴉 1975年 NHK文芸劇場
  16. 緒形拳
  17. :悪魔の手毬唄 1976年 NHK連続ラジオ小説
  18. 鈴置洋孝
  19. :八つ墓村 1997年 TBSラジオ・角川ドラマルネッサンス

カセット文庫版

  1. 神谷明
  2. :金田一耕助の冒険・悪魔の降誕祭 1988年 角川カセットブック
  3. :金田一耕助の冒険2・怪獣男爵(原作に金田一は出ていない) 1989年 角川カセットブック

金田一耕助の助手

東映東横映画の作品では、金田一耕助の助手として白木静子が登場する。 元々、白木静子は本陣殺人事件の登場人物であった。
  1. 原節子三本指の男
  2. 喜多川千鶴獄門島犬神家の謎 悪魔は踊る
  3. 相馬千恵子(八つ墓村
  4. 千原しのぶ悪魔が来りて笛を吹く
  5. 高千穂ひづる三つ首塔
  6. 北原しげみ(悪魔の手毬唄
また、長坂秀佳が脚本を務めたテレビドラマ2作品でも、金田一耕助探偵事務所の助手として池田明子が登場している。
  1. 松本伊代(犬神家の一族 平成2年)
  2. 伊藤かずえ(女王蜂 平成2年)

関連項目

外部リンク

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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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