概要
「岩手」の名称は、県庁の置かれた盛岡市の所属
郡名「
岩手郡」に由来する。その起源については、「住民の悪鬼追討の祈りに対し、人々の信仰を集めて『三ツ石さま』と呼ばれていた大岩(三ツ石の神、現:三ツ石神社)がそれを懲罰し、二度とこの地を荒らさないという鬼の確約を岩の上に手形で残させた」という故事にならうとされる。
また、「岩手」の名が文献に登場するのは、「
みちのくから
都に献上された鷹を、帝がたいそう気に入り、鷹に慣れた
大納言に預けたが、取り逃がしてしまった」という大和物語の一説の鷹の名「岩手」が初めてだといわれている。
帝は、岩手を失った悲しみを「言わないことが言うことより気持ちが勝る」の意味で、「岩手=言はで」に掛け「いはでおもふぞいふにまされる」と詠じたという。この表現は、
古今和歌集の中からの
本歌取りである。
地理
自然公園
- 地形
- 河川
- 湖沼
隣接自治体
気候
太平洋側の
盆地である北上盆地は、冬季の
西高東低の
気圧配置になると奥羽山脈が「壁」の役割をはたして晴天になる場合も多い。そのため、
放射冷却によって早朝の
最低気温がかなり低くなる。対して、降雪時や曇天の場合は気温が下がりづらい。北上盆地に位置する
盛岡市は、このような放射冷却の影響がある脊梁山脈東側盆地の最北端
都道府県庁所在地であるため、(日本海側のため冬季は曇天が多く、放射冷却がおきづらい)
青森市や
札幌市など、より北に位置する
都道府県庁所在地よりも最低気温が下回る時が多く、
東北地方では勿論、日本の
都道府県庁所在地で最寒都市である日が多い。
一方、北上盆地の夏は、
フェーン現象の影響で、南にあり海洋性気候の傾向もある
仙台市よりも気温が高いことがしばしばあるが、沿岸部は仙台市と同様の気候となることが多い。
歴史
古代〜近世
8世紀末の38年戦争では
胆沢(現在の
奥州市)に
アテルイが現れて朝廷軍を苦しめるが、
征夷大将軍に任ぜられた
坂上田村麻呂によって滅ぼされた。その後朝廷の勢力下に置かれ、蝦夷と呼ばれた人々は多くが全国に強制移住させられた。この後一部が
俘囚と化し、
11世紀までに俘囚長の
安倍氏が半独立の勢力を築いた。安倍氏は
前九年の役で源頼義の率いるヤマト朝廷軍になびいた秋田仙北の俘囚主
清原氏によって滅ぼされた。その清原氏も一族の内紛から
後三年の役で滅び、安倍氏の血を引く
奥州藤原氏が東北地方を掌握、豊かな産金をもとに仏教を基盤とする地域支配を実現、その
平泉時代を築いた。
鎌倉時代には甲斐国南部の河内地方を領した
甲斐源氏の
南部氏が八戸周辺に移住し、今の青森県から岩手県北及び秋田県鹿角地方にまで勢力を伸ばした。県央部では
斯波氏、稗貫氏、阿曽沼氏、和賀氏などが割拠し、県南部は
葛西氏、
留守氏が有力だったが、次第に福島県伊達郡に根城をおく
伊達氏の勢力が浸透し、室町時代には葛西氏、留守氏は伊達の馬打ちとして事実上支配下におかれた。
これらの諸氏は伊達氏の内紛によって再び自立するが、
伊達政宗の仙台移封を機会に葛西氏は滅亡、留守氏は伊達氏の一族として組み込まれた。同じ頃、安倍氏の末裔である一方井氏を母に持つ七戸南部氏の
南部信直が勢力を拡大し、南部所属の頭領として振舞うようになると、これを認めない九戸南部氏の
九戸政実と争い、
豊臣秀吉の知遇を得た信直は秀吉軍を招きいれて政実を滅ぼした。南部氏諸家を統一した信直は盛岡に拠点を移し、勢力を確立した。(
九戸政実の乱)
近代以降
の路線図]]
その後、盛岡県を岩手県に改称させられ、莫大な御用金を課せられたり、旧藩を分断する県域を設定され弱体化を図られるなど敗戦の屈辱を味わう。しかし、これをバネに多くの人材を輩出。
原敬が
内閣総理大臣に就任して薩長藩閥政治を終わらせ議会政治の定着をはかるなど、近代日本国家建設に多くの功があった。
戦後、1950〜1960年代には、山岳地帯のため交通の便が悪いことや、主な産業が
新日本製鐵の
釜石製鐵所位しかなく、所得水準が全国でも低いことから、自ら「日本の
チベット」と呼び、政府の振興策を求めたこともあった。なおこの呼称は、1955年1月22日封切の
ニュース映画『カメラルポ 脚光あびる日本のチベット 岩手三陸』において用いられたことから定着したという。
その一方で、情報の格差の是正は他の都道府県に比べ、大幅に遅れた。県内民間放送局のうち、後発2局は平成に改元されてからの開局だった。ただし、現在
北東北においてテレビ東京系列局以外の各系列民間放送局がそろっているのは岩手県だけである。
人口
年齢構成
政治
国政
県政
財政と事業
1995年以降、
細川内閣(当時)打ち出した大規模景気対策に乗って
公共投資を拡大させ、その後
1997年まで、積極投資を拡大させた。当時県知事を務めていた
増田寛也は、退任後の取材に「国の財政的限界で、いずれ予算が回らなくなるのは分かっていた(中略)…
東北新幹線や
花巻空港、
釜石自動車道など(骨格的な事業)は、先にやってしまおうと思った」と答えている。結果的には彼の読み通り、
小泉内閣が発足した
2001年以降、公共投資予算は年10%以上の割合で急速に縮減され、財政再建に大きく舵を切った。
県自らも、県議会での質問に答える形で、財政悪化の原因について自己分析している(→
増田寛也#財政再建など参照)。
- 予算規模
-
財政力指数(2008年度)0.29
- 当初予算規模(2008年度)
- 約6500億円(一般会計)
経済
特に
自動車産業については、
トヨタ自動車が東北地方を新たに生産拠点と位置づけており<ref name=toyota>
ゲンダイネット - 2008年2月28日確認など。</ref>、今後とも一層の誘致が見込まれる産業分野である。
貯蓄率が極めて高いことで知られる。地方の県としては珍しく、県内に3行の
地方銀行(
第二地銀を含む)を持ち、保有する金融資産は4兆円以上に達する。県民の
貯蓄率は39%で、
東北地方平均の25%、全国平均の16.5%を大きく上回り、東北では宮城県に次いで2位、全国でも9位の高率を保つ。
産業
農業・水産業
平成18年農林水産統計によると、
農業産出額は2,544億円。
食料自給率は106%であり、
北海道や
青森県、
秋田県、
山形県などと共に、自給率100%を超える数少ない県の一つである。広大な面積と、山岳に囲まれた地形のため、地域によって気候が大きく異なるところがあり、特性に応じてさまざまな形態の農業が営まれている。
穀物、
畜産業などが伝統的に盛んである。
林業は、県が木質バイオマス事業などの自然エネルギー活用に熱心なこともあって、生産高188億円(平成17年)と、全国5位の数字を出している。
商工業
製造品出荷額は2兆1000億円で、東北地方では
福島県(全国順位19位)、
宮城県(同24位)、
山形県(同28位)に次いで4位(同31位)である。
特に、
2008年2月に決定された
東芝・
フラッシュメモリ工場の
北上市への建設は、波及効果を合わせると1兆円程度の経済効果があるとされ、県は
法人税減免や低利融資などを通じて、これを後押しするとしている。東芝が「行政からの融資措置だけでなく、質の高い人材の確保が容易なことが決め手になった」とし、「金のかからない新しい産業誘致モデル」として注目された。工場新設に当たって、北上市はこれまでに蓄積した企業誘致と合わせて、
法人税、
固定資産税の大きな増収が見込まれることから、国から
地方交付税の交付を受けない「不交付団体」への昇格を果たすことになった。岩手県では、かつて製鉄業が隆盛を極めていた時代に釜石市が不交付団体となっていた前例があり、「それに次ぐ快挙」(2008年2月・岩手県知事定例記者会見)と評された。
自動車産業に関しては、
トヨタ自動車が、東北地方を新たな生産拠点とする意向を示しており、すでに
金ケ崎町に立地する自動車工場も、現行より10万台増の25万台生産規模まで拡大されることが決まっている。自動車関連産業の集積を進めるため、岩手県は、
セントラル自動車の進出が内定している
宮城県や
山形県、
福島県などと連携して、今後も誘致活動を展開していくとしている。
県内に拠点を誘致した主な製造業
サービス業
北東北では唯一、民放キー局4波すべての系列局を持つ。
伝統的な産業
特産品・名産品
地域
- ※東北新幹線の駅が設置された都市圏は斜体。
地域
総面積で全国2位だが、可住地面積割合が24.3%と低く全国40位で、可住地面積では全国5位に下がる(
都道府県の面積一覧#2006年 面積の順位を参照)。可住地は大別して内陸部(人口100万人程度)と、沿岸部(40万人程度)の2つ。このうち、内陸部には
東北新幹線・
東北縦貫自動車道などの高速交通インフラが整っているが、その他の地域ではインフラが未発達で、地域間移動は
国道や
在来線レベルに留まっている。特に、内陸部と沿岸部を行き来するためには、
一般国道・
県道は急峻な峠を上り下りする道となっており、直線距離の割に、移動に大きな時間を要する結果を招いている。このような状況は、県土が多数の
島によって構成されている
沖縄県とも相似しており、
救急医療においては
ヘリコプター輸送が行われているほどである。
交通
インフラの未整備に起因して、短時間で県庁にたどりつけない県民が多数存在することから、従来
岩手県庁は、県内各所に「地方振興局」を設置、県の総合出先機関として機能させてきた。近年にいたって、
平成の大合併で市町村数が大幅に減少したことを契機として、2006年4月に地方振興局の再編を実施。高速交通インフラが整った内陸部では、細かい地域圏に分割せず、県の中枢機能が集まる
盛岡市広域と、県南地域との南北2分割に統合した。県南地域については、従来多くの広域生活圏の設定があったが、それらを一まとめに統合して、新たに設立した「県南広域振興局」の管轄とした。この結果、従来12だった広域生活圏は、7に減少した。
2006年3月までの県内地域区分
- 盛岡広域生活圏(盛岡) 491,206人
- 岩手中部広域生活圏(+) 206,694人
- 胆江広域生活圏() 147,728人
- 両磐広域生活圏(+) 146,028人
- 気仙広域生活圏(大船渡) 75,479人
- 釜石広域生活圏(釜石+) 92,582人
- 宮古広域生活圏(宮古) 101,161人
- 久慈広域生活圏(久慈) 67,381人
- 二戸広域生活圏(二戸) 66,551人
- 盛岡地方振興局管内 491,206人
- 県南広域振興局管内(=+++++) 532,518人
- 大船渡地方振興局管内 75,479人
- 釜石地方振興局管内 60,514人
- 宮古地方振興局管内 101,161人
- 久慈地方振興局管内 67,381人
- 二戸地方振興局管内 66,551人
県内市町村
各振興局ごとに県内市町村を列記する(県南のみ「広域振興局」で、その他は「地方振興局」)。県内には13市11郡16町6村がある。「町」の読み方は、葛巻町、岩手町、西和賀町、山田町、軽米町、一戸町の6つが「まち」で、他は全て「ちょう」である。
「南北沿岸」の所得格差
北上市など県の南部では、著しい
経済発展によって、所得水準も大きく向上している。が、いっぽうの内陸北部・沿岸部では、目だって経済的発展がなく発展が遅れがちで、県民
所得の水準でみても、露骨な
格差が生じ始めている。統計資料で比較しても「格差」の存在は明らかで、県全体の平均所得が242万円なのに対し、県北の中心都市
二戸市・
久慈市では、190万円台にとどまり、50万円以上もの格差が存在している。
岩手県庁は2006月、「県北・沿岸振興本部」を設置して対策に乗り出したが、南北の格差は逆に拡大傾向すら呈しており、根本的な対策が求められている。
生活文化
食文化
郷土料理
教育
概観
高校進学率は98.4%と、全国平均を上回るが、大学進学率が逆に10%以上低い。
私立学校の数が少ないため、
公立学校が圧倒的な比重を占めている。
学力向上策
の正門]]
大学入試センター試験の平均点が全国最下位なことから、県は予算を投じて学力の向上に取り組んでいる。
平成17年度からは、県費で
予備校講師を招く事業を行っているが、この取り組みが主要
進学校のみで行われていることに、「主要
進学校の実績は堅調なのだから、進学率向上には、それ以外の高校での対策も重要」との意見もある。
なお、首都圏の大学に進学すると費用が高額に上りがちなことから、その対策として、当初は看護系
単科大学となる予定だった
岩手県立大学を、
総合大学に路線変更したこともある。
教育機関
大学
国公立
私立
短期大学
公立
私立
高等専門学校
国立
高等学校
交通
鉄道
道路
内陸部の縦軸の交通には、
東北縦貫自動車道、
国道4号など、
自動車を用いた高速交通インフラが整っている。その反面、内陸部と沿岸を結ぶ「横軸」の交通は、いまだ急勾配・急カーブの
一般国道レベル(
国道106号など)に留まっており、結果的に、距離と移動時間が、必ずしも比例しない。なお、盛岡市内は道路が入り組んでいるためか、特に朝夕の混雑が激しい。
有料道路
一般国道
県道
空港
港湾
重要港湾
報道機関
新聞社
全国紙・広域紙
通信社
地方紙
放送局
県域放送
北東北で唯一、テレビ東京系列局を除く、すべての系列民間放送局が揃っている。
一関市を中心とする県南地域では山で隔てられていない事もあり、宮城県の放送を直接受信で見ることが比較的容易である。
コミュニティ放送
ケーブルテレビ
県内の民間放送局が2局しか無かった頃は、
仙台放送や
東日本放送を中心に宮城県の民間放送局の再送信が行われていたが、民間放送局が4局揃った現在では再送信は全て中止されている。
有形文化財建造物
- 国宝
- 重要伝統的建造物群保存地区
岩手県を舞台にした作品
映画
- 情熱の詩人啄木 (1936年)
-
風の又三郎 (1940年)
-
馬 (1941年)
- 花くれないに (1957年)
-
大怪獣バラン (1958年)
-
大いなる旅路 (1960年)
- 北上夜曲 (1961年)
- 北上川の初恋 (1961年)
- われ一粒の麦なれど (1964年)
- 家族 (1970年)
- 愛と死 (1971年)
- 同胞 (1975年)
-
八つ墓村 (1977年)
- イーハトーブの赤い屋根 (1978年)
-
トラック野郎 一番星北へ帰る (1978年)
- 子育てごっこ(1979年)
- 時代屋の女房 (1983年)
-
男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎 (1984年)
-
風の又三郎 ガラスのマント (1989年)
-
息子 (1991年)
- あふれる熱い涙 (田代廣孝)
-
釣りバカ日誌6 (1993年)
-
(ハル) (1996年)
- わが心の銀河鉄道 宮澤賢治物語 (1996年)
- 宮沢賢治 その愛 (1997年)
- 私の骨 (2001年)
-
壬生義士伝 (2003年)
-
待合室 (2005年)
-
河童のクゥと夏休み (2007年)
-
伊藤の話 (2007年)
ドラマ
文芸
漫画・アニメ
音楽
スポーツ
関連項目
脚注
外部リンク
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