概要
- 拡張した心臓の左心室を3分の1程度切り取り形を整える。
-
心臓外科
手術では難しい手術に分類される。
- 考案したのはブラジル人のランダス・J・V・バチスタ (Randas Jose Vilela Batista) 博士。
- ただし、現在アメリカでは禁止された術式となっている。
拡張型心筋症の治療法
拡張型心筋症の根本治療は基本的には心臓移植しかない。
1967年に初めてヒトからヒトへの心臓移植が行われてから研究が進み、現在では成功率が飛躍的に向上している。しかし、主に以下の問題(特に日本国内で)が挙げられていてなかなか行われていない
- * 日本国内はもとより、世界的にも心臓のドナー提供者が不足している。
- * 医療保険対象外のため移植費用が高い(日本国内では1000万円〜)
- * 心臓提供には本人の意思表示、または家族の同意が必要であるが未だ日本国内では脳死という概念が浸透していない。
- * 現行の臓器移植法では日本国内では15歳未満からの移植は認められていない。
また、移植後も
- * 移植が成功しても慢性期拒絶反応(原因は不明)すなわち移植心冠動脈硬化症が起こる可能性がある。
- * 一生免疫抑制剤を飲まなければならない。
- * 免疫抑制剤を飲むため感染症(日和見感染など)にかかりやすくなる。
という問題が存在する。特に心臓を提供するドナー不足は深刻で、心臓移植希望者のおよそ3人に1人しか移植を受けることができない状況にある。
内科的(薬物)療法もあるが、根本的治療は現在の医療技術からは見込めない。拡張型心筋症による
心不全、
不整脈を抑えて心臓への負担軽減をして移植まで進行を遅らせるのがもっぱらである
バチスタ手術
バチスタ手術は心臓移植を行うことが難しい患者にとって残された手段、また移植手術待ちの患者にとって非常に有効で、術後の結果も良好として注目されている。バチスタ手術は1980年代から
クリチバでランダス・バチスタ博士の手によって行われていたが当時は国際的にあまり注目されていなかった。トーマス・サレルノ (Tomas Salerno) がバチスタ手術の有用性を認め、救命不能と診断された
DCM症例が驚異的に回復することを示した。日本国内では
1996年12月2日に湘南鎌倉総合病院
須磨久善(現在、心臓血管研究所スーパーバイザー)と磯村正(現在、葉山ハートセンター心臓外科センター長)によって初めて行われた。
1998年1月には医療保険の対象となった。
主な有用点(主に心臓移植と比較して)としては
- * 心臓を提供してくれるドナーを待つ必要がない。
- * 15歳未満、60歳以上の年齢でも患者(患児)の状態しだいでは日本国内で手術を行うことができる。
- * 個人差はあるが劇的な症状回復がある場合がある。
- * 心臓移植をしないので拒絶反応は起こりにくい。
- * 保険が適用されて、移植に比べて安価に手術を行うことができる。
しかし、問題も数多く存在する。
- * 完治はしない(根本治療ではない、あくまで心臓移植の代替としかなりえない)。
- * 基本的には心臓移植に比べて回復は小さい。
- * 左心室の再拡大が起こらないかどうかはわからない。また、起こるとしたらそれはどのくらいの期間をおいて起こるのかは未だ統計不足でわからない。
- * 近年、研究が進み技術・術後処置が確立されつつあるものの未だ適合基準、時期が不確定である。
- * リスクが高い。
- * 遠隔生存率は心臓移植術に劣る。
- * 遠隔心不全回避率が術後3年で25%と非常に悪い。
等があげられている。バチスタ手術は現在も不確定要素の未だ多い術式である。しかし、心臓手術の代替術式としては有効という見解が一般的である。
今後
現在、バチスタ手術を応用・発展させた手術として左室縮小術(Overlapping cardiac volume reduction operation)が注目されている。バチスタ手術は予後の心不全回避率が3年後には25%と比較的悪いが、これは左心室の一部を切り取ってしまうため心筋の収縮能力が著しく低下してしまうためだと考えられている。これを改善するために発案されたのが左室縮小術である。左室縮小術は心臓を切り取って小さくするのではなく、左心室に心筋に沿ってメスを入れてそれを左室壁に巻き込んで縫い付ける手術である。バチスタ手術の応用として現在、世界的に注目をされているが、執刀数の少なさ、
心臓外科医に要求される技術の高さ、また、ガイドラインが不確定なことが問題視されている。しかしアメリカでは、その危険性などから、数年前から禁止術式とされている。
関連項目
外部リンク
※実際のバチスタ手術の施術中の心臓の写真が掲載されています。そういった映像が苦手な方は、閲覧をお控えください。
はちすた
出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)