歴代国王は王位につく際に、自分の統治をモットーとして表明する習慣になっている。現国王
カール16世グスタフのモットーは「För Sverige i tiden (スウェーデン語: スウェーデンのために、時代と共に)」である。(右下の表中では国の標語となっている。)
国名
正式名称は、Konungariket Sverige(スウェーデン語: コゥーネゥンガリケト・スヴェリエ)。通称、Sverige。
日本語の表記は、スウェーデン王国。通称、スウェーデン。他に、スエーデン、スェーデンという表記もされる。また文化面では、英語の形容詞形スウィディッシュが使われる。漢字による当て字は、瑞典で、瑞と略される。
歴史
政治
行政府の長は、
首相。議会の総選挙後に、国会議長が副議長及び各党の代表者を招集し、新首相を推挙し、議会の過半数の反対でないことで承認される(反対票を投じないまでも、賛成できない議員は、投票を棄権する)。その後、国王の臨席する任命式において国会議長が新首相を任命し、新首相は同時に各大臣を任命し組閣を行う。このように、1974年改正後のスウェーデン憲法では、通常の立憲君主国の君主が有する首相任命権を始めとする全ての官吏任命権を形式的にも失っている。国王の権能は情報閣議による大臣からの情報収集(いわゆる
内奏)や外国使節の接受などもっぱら儀礼的な機能に限られている。そのためもはや立憲君主制ではなく、象徴君主制という新たな統治形態であるとする学説もある。
政党
2006年
9月の選挙で
議会に議席を獲得した政党は以下の7党。新聞や議会のホームページではしばしられる。
国防
スウェーデン軍は陸海空三軍と郷土防衛隊からなり、
国防省の管轄下にある。冷戦期にはノルディックバランスに則った中立政策を保ち、兵器体系も専守防衛のための独特のものとなった。独自開発兵器も多い。現在も
NATOには加盟せず、ロシアとも緊密な軍事協力関係を維持している。
徴兵制度(19歳〜47歳の
男子が対象。女子は対象外である)が実施されている(平成18年6月現在)。兵役拒否を希望する
男子に対して介護や医療などの代替役務を課すことにより、「
良心的兵役拒否」が認められている。
- 詳細はスウェーデン軍の項を参照。
福祉
1971年から1984年において実質経済成長率、国民一人当たり GDP成長率が
社会民主労働党政権の下においてのみ上昇、失業率、消費者物価上昇率は減少している。
1982年から1986年の公的部門の貯蓄の対GDP比は、米国、英国、フランス、日本、西ドイツに比較して高い。
スウェーデンは、「社会科学の実験国家」だとも言われている。時代状況の変化に対応し、実に簡単に制度(
法律)が変更される。そのため、スウェーデンの研究は絶えずこの変化を追いかけ、変更された意図を正確に捉え、その目的と意義を探る必要がある。低所得者層、
高齢者、
障害者、
失業者等、社会的弱者もあるレベル以上の
生活をすることが保障される。
地方行政区分
日本の県に相当するスウェーデンの地方自治体には2種類あり、その一つは国会と政府の出先機関である
レーン(
スウェーデン語: län)で、もう一方は県民の代表たる
ランスティング(
スウェーデン語: landsting)である。
レーンの総数は21で、ランスティングのそれは20であり、両者の境界線はほぼ一致する。ゴットランドは島という性格上、レーンの境、市の境、ランスティングの境が偶然一致してしまった特異な例である。レーンは、国会の決定に従い、政府の指示のもとで地域的に必要とされる行政を行うのがその主な役割。その最高議決機関である執行委員会は中央政府によって指名される執行委員長(日本の都道府県知事に相当)と、ランスティングを通じて住民により選挙で選ばれた委員で構成される。これに対してランスティングの主な役割は、県民の精神的・身体的健康の増進と公衆衛生の維持、県内にある学校等教育関連機関の指導・監督及び支援、県内で行われる文化的活動の支援にある。ランスティングの最高議決機関は県民から選挙で選ばれた議員によって構成される県(ランスティング)議会(
スウェーデン語: landstingsfullmäktige)である。ランスティングの役割は地域によって細かい部分には差があり、レーンとの役割分担の度合いもそれぞれの地方によって細部は異なる。
県庁所在地はレジデンススタード(
スウェーデン語: residensstad)と呼ばれ、県の行政機関が集中している。
市内の人口密集地はテートオート (tätort) と一般に呼ばれるが、市役所やコミューン議会が置かれている市の中心地は特にセントラルオート(
スウェーデン語: centralort)と呼称される。嘗てはスウェーデンにも「町」や「村」といった行政区分もあったが、現在は存在しない。日本の
政令指定都市に置かれている「区」と同様の組織は一部のコミューンに設けられる事もあるが、さほど一般的でない上に、規模もごく小さい。「区」に近い概念としてスタッツデール(
スウェーデン語: stadsdel)という表現があり、市内にあるそれぞれ人口密集地内の各地域を指す「地区」といった意味合いで使われる。
スウェーデンには以前、「教会市(
スウェーデン語: kyrkokommun)」や「教区(
スウェーデン語: församling)」という教会が課税権を持つ行政区分があったが、町や村と同様に行政区分としては教会市も教区も現在は存在しない。但し、教区という区分は人口統計や歴史学の研究等、ごく限られた範囲では利用される事もある。
主要都市
地理
経済
スウェーデンの経済の最大の特徴は公務員が多いことである。公的部門の人数は実に33%を超え全体の3分の1にも達する(日本は9.5%)。労働参加率は高く特に女性の労働参加率が高い(スウェーデン76%、日本48%)。そしてその女性の社会進出の場になっているのが公務員の福祉部門である。つまりスウェーデンにとって福祉国家と男女平等はそれ自体が国家と経済を支える重要な柱となっているのである。
農林水産業
国土の8割が冷帯に属し、コムギの栽培が可能な地域は北緯60度以南に過ぎない。農地は国土の6.5%であるが、農業従事者は国民の1.5%に過ぎない。しかしながら、高い生産性によって、穀類の自給率は121%(2002年)に達している。果実類と野菜類、油脂類を除く各項目の自給率はいずれも80%を上回る。穀類の生産量ではコムギ(241万トン、以下、2004年)、オオムギ(169万トン)のほか、えん麦(93万トン、世界シェア10位)が際立つ。
国土の65.9%は森林(針葉樹林)に覆われている。このため、針葉樹に限定すれば世界第5位の生産量(610万立方m、世界シェア5%)を占める。
製造業
北部の都市
キルナは鉄鉱石の産地として有名であり、これを背景とした鉄鋼業が盛んである。生産される鋼材はスウェーデン鋼と呼ばれ、国際的にも日本の
安来鋼と並んで硬く上質の鋼材として評価が高い。
その他
-
イケア - 世界最大の家具チェーン。
-
ヴィゲーンズ - 帽子のブランドとして世界各国でその名を知られている。
-
ファッション
ブランドのWESCは世界の多くの国に展開している。
- H&Mは世界22カ国で展開する衣料品チェーンである。
-
ハスクバーナ - チェーンソーメーカーとして日本でも知られているが、オフロードバイクの生産も行っており、モトクロス選手権やスーパーモタード選手権でもトップメーカーとして活躍している。
国民
言語
宗教
文化
文化的嗜好(国民性)
古代からドイツの圧倒的な影響を受けて来たことが影響しているためか親独感情が比較的強い。
民族音楽
クラシック音楽
また合唱のレヴェルは世界最高水準を誇り、エリック・エリクソンが長く指揮者を務め、世界的な評価を誇るスウェーデン国立放送合唱団やエリック・エリクソン室内合唱団などがある。
ポピュラー音楽
昔日は世界第3位の
音楽輸出大国と言われたこともあった。1960年代にはスプートニクスがエレキインスト界を席巻した。1970年代後半に
ABBAが世界中を席巻した。1980年代には
ヨーロッパや
ロクセットなどの
バンドが世界的レヴェルの人気を博した。1990年代中期に現れた
エイス・オブ・ベイスは1994年に、ザ・サイン(
The Sign)を全米シングルチャートの年間第1位にするという偉業を成し遂げている。スウェーデンの
ヨーロッパなどのバンドを中心に1980年代頃から開拓されたヘヴィメタル系の
ロックは、
北欧メタルと称される。
そうして一時は
ヨーロッパ外の国々にもその名を知らしめもしたが、1990年代も半ばを過ぎて
アメリカのポピュラー音楽が
アフリカン・アメリカンや
ラテンアメリカ系ないしその血を引く者達を主力とするダンス・ミュージックの独擅場となってゆくにつれてしだいに凋落の時を迎え、特に
若者を聴衆とした音楽が
ヒップホップの要素を必須とするという世界的な傾向に伴って、近年では欧州においても往時のような知名度はなく、大市場であった日本における知名度もほぼ無くなっている。
現在でも、
ロック音楽に関しては、iPodの宣伝にも起用された
シーザーズなどのバンドが、人気の高いアメリカや
イギリスのバンドに並び、ヨーロッパを中心にアメリカ、日本でも人気を集めている。
スポーツ
手厚い国庫負担によって国民の半分が何らかのスポーツに関与している。
世界遺産
スウェーデン国内には、
ユネスコの
世界遺産リストに登録された文化遺産が11件、自然遺産が1件、複合遺産が1件ある。
聖ルシア祭
スウェーデンでは
旧暦の
冬至に当たる毎年
12月13日に
聖ルチア祭が行われ、「一番大切な冬の行事」と言われている。
イタリア・
シチリア生まれの女性聖者である聖
ルチアは貧しい人々に財産の全てを提供した純粋な人と言われている。貧民の生活に光を与えた彼女は、光の聖人として、また農耕の守護神として親しまれている。光の明るさを表す単位
ルクスは彼女の名前に由来している。
冬至は一番日が短い日であるが故、日が長くなり始める日。日が長くなることを祝う古来からの民間信仰に、
キリスト教の光の聖人がいつの間にか一体となって現在に至る。
長く暗く寒い三重苦の北欧の冬に一筋の光を投げ込むのが聖ルシア。この日の朝、女の子がいる家庭では白いドレスに蝋燭の冠を被った娘が父親にサフランパンとジンジャークッキーを持って行き、枕元で
サンタ・ルチアの曲を歌う。父親はルシアのような光に包まれた娘に起こされる。
近年では職場や学校、教会などで聖ルシア祭が行われ、蝋燭の冠を被ったルシア姫を先頭に同じく白いドレスを着た女の子と星の使いに扮した男の子が行列を作ってサンタ・ルチアなどの歌を歌う。頭に載せたり手に持った蝋燭の淡い光が日の光を切望する
北欧の人たちの気持ちを代弁しているようでもある。行列の後はサフランパンやジンジャークッキー、コーヒーやグレッグと呼ばれるホットワインが振る舞われる。
なお、イタリア語読みでルチアだったものが、スウェーデン語読みでルシアに変化している。
祝祭日
日曜日と重なっても
振り替え休日にはならないが、祝日の前日が休みになっていたり、労働法により半日休暇を許可されていることが多い。
キリスト昇天祭もメーデーと重なる5月1日になる場合があるが(2008年など)、この場合でも振り替え休日は発生しない。
交通
鉄道
スウェーデンの鉄道は、政府が株式を100%所有する
エスイー (SJ, Statens Järnväg) が全国の旅客輸送を担当している他、トーグコンパニーエット (Tågkompaniet) 、
コネックス・スヴェリエ(Connex Sverige, Veolia Transport Sverigeに社名変更中)等の政府とは資本関係のない会社が一部地域の旅客鉄道輸送を担っている。線路はスウェーデン産業省の外局である鉄道線路庁 (Banverket, バーンベルケット) が所有・管理している。
空港連絡鉄道としては
アーランダ空港と
ストックホルム中央駅をアーランダ・エクスプレス (Arlanda Express) が20分で結んでいる。貨物輸送はやはり政府が株式を100%所有するグリーン・カーゴ (GreenCargo) を中心に、
ノルウェーの運送会社が筆頭株主のヘクター・レール (Hector Rail) 等によって運営されている。
バス
スウェーデンの各都市で運行されている公共交通機関としてのバスは地方自治体である
ランスティングや
レーン (län) がその出資母体となる
株式会社として運営されている場合が多い。地方自治体とは資本関係のないバス会社も多数あるが、そのほとんどは観光目的の
観光バスや都市間を結ぶ
高速バスを運営している。
各都市で運行されているバスは市内の2拠点間を市中心部にある
バスターミナルを経由して(起・終点としてでなく)走っている。各都市には主要路線のバスが必ず経由するようなメインの
バスターミナルが最低一つはあるが、そのようなターミナルが必ずしも日本のように駅前にあるわけではない。(もちろんバスターミナルが駅に隣接している場合もあり、離れていてもせいぜい500〜600メートル程)
ストックホルムや
ヨーテボリのような大都市ではそのようなバスターミナルが複数設けられている。
航空
スカンジナビア航空以外でスウェーデン国内を拠点としている航空会社としては、マルメ・アヴィテーション (Malmö Avitation) 、スカイウェイズ (Skyways) 、ゴットランズフリーグ (Gotlandsflyg) 等の
航空会社がある。多くは国内・国外への両方ともに運行しているものの、ほとんどは
ヨーロッパの各都市への便に限られている。
道路
スウェーデンの
道路は所有区分によって一般道 (allmän väg) とその他の道路 (övriga vägar) に分けられる。一般道は国が所有し、スウェーデン産業省の外局である道路庁 (Vägverket) が管理している。一般道はヨーロッパ道路 (Europavägar) 、国道 (Riksvägar) 、県道 (Länsvägar) 、その他の一般道 (Övriga allmänna vägar) に分類される。ヨーロッパ道路は例外的に
国連欧州経済委員会 (UNECE) が事務的な管理を担当している(スウェーデン国内の部分についてはスウェーデン政府が所有し、整備を担当)。その他の道路は各市の所有であったり、道路の設置されている土地の所有者に帰属している場合もある。その他の道路には市道 (kommunal väg) か私道 (enkild väg) 分類される。一般道はスウェーデンの道路法 (Väglag, SFS 1971:948) によって定義、建設・整備の責任等が定められている。その他の道路は土地及び建物法 (Plan- och bygglag, SFS 1987:10) にその規則が定められている。
2007年8月1日から
ストックホルム中心部では、出入りする国内登録車両に対して、時間帯に応じた進入税 (trängselskatt) が課税されるようになった。この税金の目的は中心部の交通量を減らし、そのことによって公共交通機関たるバスの定時性を保持すると同時に、排ガスによる住民の健康を保護するなど中心部の環境保全にある。
著名人
脚注
参考文献
- 岡沢憲芙・宮沢太郎編 『スウェーデンハンドブック』 早稲田大学出版部 1997 ISBN 4-657-7523-4
- 岡沢憲芙・宮沢太郎編 『スウェーデンハンドブック第2版』 早稲田大学出版部 2004 ISBN 4-657-7523-4
- 岡沢憲芙・奥島孝康編 『スウェーデンの政治』 早稲田大学出版部 1994 ISBN 4-657-94626-9 (Waseda libri mundi 10)
- 岡沢憲芙・奥島孝康編 『スウェーデンの経済』 早稲田大学出版部 1994 ISBN 4-657-94627-7 (Waseda libri mundi 11)
- 岡沢憲芙・奥島孝康編 『スウェーデンの社会』 早稲田大学出版部 1994 ISBN 4-657-94626-9 (Waseda libri mundi 12)
- 岡沢憲芙 『スウェーデンの挑戦』 岩波新書 1991 ISBN 4-00-430177-7
- オロフ・ペタション著、岡沢憲芙・斉藤弥生・木下淑恵訳 『北欧の政治』 1998 早稲田大学出版部 ISBN 4-657-04512-1 (スウェーデン語の原書は1995年初版)
- 武田龍夫著 『北欧の外交』 東海大学出版会 1998 ISBN4-486-01433-2
- 武田龍夫著 『北欧』 中央公論社 1995 ISBN 4-12-002416-4
- 武田龍夫著 『物語 北欧の歴史』 中公新書 1993 ISBN 4-12-101131-7
- 百瀬宏・志摩園子・大島美穂著 『環バルト海』 岩波新書 1995 ISBN 4-00-430408-3
- 百瀬宏・熊野聰・村井誠人編 『北欧史』 山川出版社 1998 ISBN 4-634-41510-0
- 伊藤和良著 『スウェーデンの分権社会』 新評論 2000 ISBN 4-7948-0500-4
- 河本佳子著 『スウェーデンの作業療法士』 新評論 2000 ISBN 4-7948-0475-X
- ヤン・カールソン著、堤猶二訳 『真実の瞬間』 ダイヤモンド社 1990 ISBN 4-478-33024-7 (スウェーデン語の原書は1985年初版)
関連項目
外部リンク
- 政府
- 日本政府
- 観光
- その他
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