独立時の経緯によりアイルランド島の北東部
北アイルランド6州は
イギリスの統治下にあるが、アイルランドは全島の領有権を主張している。2005年の英
エコノミスト誌の調査では最も住みやすい国に選出されている。
国名
正式名称は
Éire(
アイルランド語: エーラ)であり、憲法は公式の英語名称について
Irelandと定めている。
国際連合や
ヨーロッパ連合においては
Irelandとして登録されているが、その一方で、「1948年アイルランド共和国法」 (
The Republic of Ireland Act, 1948) は、憲法の規定を覆す効力は無いものの
Republic of Irelandを公称とする旨を定めている。
日本語では「アイルランド」または「アイルランド共和国」の表記が使われており、日本政府は「アイルランド」を用いている。漢字では愛蘭土と当てられ、愛と略す。アイルランド語名に由来するエールと呼ぶこともある。
地理
アイルランド島の南側、約6分の5がアイルランド共和国、残りは
北アイルランドで
イギリス領である。面積は70,282km
2(北アイルランドを加えると84,421km
2)、南北に約500km、東西に約300kmある。
中央部は
氷河によって堆積した
粘土と
砂を含む
石灰岩の低地が広がっており、
沼地や
湖が多く存在する。山岳地帯は主に沿岸部に分布している。北東部に
玄武岩台地があるほかはほとんどの地域が
花崗岩に覆われている。
温暖な
メキシコ湾流と、
大西洋から吹く
偏西風の影響で気候は安定した
西岸海洋性気候となっており夏は涼しく、冬は緯度の高い割に寒くない。また、地域による気候の差もほとんどない。もっとも寒いのは1月と2月で平均気温は4〜7℃程度であり、もっとも暖かい7月と8月の平均気温は14〜17℃程度である。最低気温が-10℃より下がることや、最高気温が30℃を超えることはほとんどない。
年間の降水量は、平野では1000mm程度である。山岳部ではさらに多く2000mmを超えることもある。月ごとの降水量はほとんど変わらない。
歴史
政治
1949年以降は共和制を採用している。
元首は
大統領で国民の直接選挙により選出される。大統領は基本的には名誉職であり、儀礼的な役割を主に務めるが、違憲立法審査の請求、首相による議会解散の拒否などの権限があり、国軍の最高司令官をつとめる。初代大統領は作家の
ダグラス・ハイドが就任した。最近は二代続けて女性が大統領に選出されており(
メアリー・ロビンソン、
メアリー・マッカリース)、保守的傾向の強かったアイルランドの変化を象徴している。現在
北アイルランド問題も問題となっている
アイルランドの議会(
ウラクタス,
Oireachtas)は
二院制で上院がシャナード・エアラン(
Seanad Éireann)、下院はドール・エアラン (
Dáil Éireann) と呼ばれる。議会から選出された
首相(ティーショク,
Taoiseach)が行政府の長となる。
イギリスとの関係
クロムウェルの侵略や
イングランド人の搾取により起きたジャガイモ飢饉やプロテスタントによるカトリック教徒のへの迫害で歴史的にイギリス(
イングランド)への植民地支配の恨みが強く、今でも一部の住民の間では反英感情が強い。しかし、ヨーロッパの経済大国であるイギリスはアイルランド共和国にとって無視できない存在であり、経済的および人的交流は古くから盛んである。イギリス領となる
北アイルランドでは帰属を求めてテロ行為を繰り返す過激派
IRA暫定派などナショナリストとユニオニストとの紛争が起こっていたが、平和プロセスが進んでいる。アイルランド共和国は一部日本で誤解されているようなテロ行為の舞台とはなっておらず、北アイルランド平和が現実に近づくにつれ、様々な分野での南北の交流が広がっている。
治安
アイルランドの警察は1922年に創設された。統計上、欧州諸国の中で最も凶悪犯罪が少なく、治安のよい国とされてきた。(一人当たりの被害件数で日本よりも少ない項目もある)しかし近年、移民の急増などから悪化の傾向にある。
軍事
アイルランドは陸海空三軍を擁し、平時の兵力は8,500名。他に陸軍の予備役13,000名がある。安全保障については中立政策を採用しており、
第二次世界大戦には参戦せず、
北大西洋条約機構にも加盟していない。
行政区画
経済
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アイルランド経済は他のヨーロッパ諸国と比べ小規模であり国際貿易に大きく依存している。かつては西欧でも長きにわたり
ポルトガルなどと並び最貧国のひとつであったが、1990年代に入ってから
EUの統合とアメリカを中心とした外資からの投資などにより急成長を遂げ、1995年から2000年の
経済成長率は10%前後であり、世界において最も経済成長を遂げた国のひとつであった。以前に経済の中心をなしていた農業は産業の
工業化により重要度が低下した。現在では工業は
GDPの46%、輸出額の80%、雇用の29%を担っている。近年のアイルランド経済の力強い成長は
外資企業・
多国籍企業や輸出が寄与するところが大きいが、国内における個人消費および建設、
設備投資による影響も見逃せない。好調な経済に伴いここ数年の
インフレ率は4%から5%で推移していたが、2005年度には2.3%に低下した。アイルランド国民の関心を集めている住居価格は2005年2月で251,281
ユーロであった。
失業率は低水準を維持しており収入も順調に増加している。世界の主要都市における調査によると、アイルランドの首都
ダブリンは22番目に物価の高い都市であり、2003年度の調査から2位上昇している。アイルランドはEUの中で
ルクセンブルクに次いで人口あたりGDPが大きい国であり、これは世界においても4位に位置している。
ただ、OECDの調査によると他の欧州諸国と比べても貧困率が高い傾向があり、今後の経済成長に期待するべきである。2007年度より、経済の急激な落ち込みが始まり、特に不動産価格の急激な下落が記録されている。また同年より起きた世界的なサブプライム問題によって多くの銀行・証券会社などが巨額な損失を発表しており、今後の動向が注目される。
農業
国土の16%が
農地、47.7%が
牧場並びに
牧草地として利用されている。農業従事者は16万人であり、生産年齢人口(国民の67.5%)のうち、5.7%を占める(以上2003年時点の統計値)。アイルランド経済は貿易依存度が高く、同時に農業、特に牧畜業に依存している。しかしながら、貿易(輸出品目)の上位には農業生産物が登場せず、国内消費を満たす生産水準に留まっている。
主要穀物では、
オオムギ(116万トン、以下2004年の統計値)、次いで
コムギ(85万トン)、第三位に
馬鈴薯(50万トン)が並ぶ。野菜類では
テンサイ(砂糖大根、150万トン)が飛び抜けており、次いで
キャベツ(5万トン)の栽培が盛ん。畜産では
ウシ(704万頭)が中核となり、次いで
羊(485万頭)、
ニワトリ(1280万羽)である。このため、畜産品である牛乳の生産(550万トン)は世界シェアの1.1%に達する。
鉱業
アイルランドの鉱業は
鉛と
亜鉛を中核とする。2003年時点で鉛鉱の生産は5万トン(世界シェア9位)、亜鉛鉱は25万トン(同8位)である。ミース州
ナヴァンに位置するタラ (Tara) 鉱山はヨーロッパ最大の鉛・亜鉛鉱山。他にキルケニー州とティペラリー州にも鉱山が点在する。いずれも海水を起源とする層間水が石灰岩層にトラップされて形成されたアルパイン型鉱床の代表例である。これ以外の金属資源としては銀もわずかに産出する。有機鉱物では天然ガスを採取しているが、消費量の数%をまかなうに過ぎない。埋蔵されていた無煙炭はほぼ枯渇している。
国民
言語
第1公用語は
アイルランド語、第2公用語は
英語である。しかし一部の地方の中高年の層を除き殆ど全ての人が英語を使用している。義務教育ではアイルランド語がカリキュラムにあり、公務員試験でもアイルランド語の試験が課せられる。
近年はポーランドからの出稼ぎ移民が急増し、話者人口では既にポーランド語話者がアイルランド語話者を大きく上回っている。ダブリンだけでも、12万人のポーランド人が居住しており、政治的影響力も年々増大している。
宗教
教育
アイルランドにおける教育システムは他の
西ヨーロッパ諸国の例と大きな違いはない。各段階の公立、私立学校双方の授業、運営にカトリック教会が関与する点が特徴である。詳しくは
アイルランドの教育を参照のこと。
文化
文学
芸能
演劇は
アベイ座を中心とする文芸復興運動で、現代のアイルランド人のアイデンティティ形成に大きな役割を果たした。
イギリスや
アメリカなどで音楽・
映画・
演劇などの分野におけるアイルランド系移民の文化的貢献度の高さは特筆するべきであろう。
美術
音楽
食文化
牧畜業が盛んなため、乳製品や肉、その加工食品が多く食されている。
ジャガイモは多くの食事に添えられている。島国にもかかわらず魚の料理は少ないが、
スモークサーモンは人気が高い。西部に行くと魚介類の料理が増える。
近年の経済発展と共に海外の食文化も取り入れられ、伝統料理と組み合わせた多くの創作料理で外食産業を賑わせている。
紅茶の消費量は世界一である。ビールの
スタウトが多く作られている。
スポーツ
国技
の試合]]
ゲーリックフットボールや
ハーリングなどの
ゲーリック・ゲームスは教育現場でも取り入れられ、広く普及している。州によるゲーリックフットボールとハーリングの対抗戦は人気があり、州毎の連帯感を演出している。優勝クラブを決定するオールアイルランド・ファイナルは毎年大変な盛り上がりを見せる。ゲーリック・ゲームスはアマチュアスポーツであり、州代表の選手も全て職業を持っている。
サッカー
ラグビー
競馬
アイリッシュダービーに代表される
アイルランドの競馬も盛んである。年間の競走数は平地が850、障害が1350となっており、世界で唯一平地より障害競走の方が多い国である。合計の競走数2200はヨーロッパでは8位に過ぎないが、馬券売り上げは30億ユーロ(ヨーロッパ3位)で、10倍もの競走数を誇るイタリアより多い。
サラブレッド生産規模は世界第3位の年間12000頭(世界の10%)にも上り、イギリスやフランスの
競馬を影から支えている。
ゴルフ
各地に多くのゴルフコースがあり庶民的なスポーツとして人気がある。国際的コースも多く2006年の
ライダーカップはアイルランドで行われた。
世界遺産
祝祭日
日付
日本語表記
現地語表記
備考
1月1日元日New Year's Day
3月17日聖パトリックの日(英) St. Patrick's Day (
愛) Lá ’le Pádraig 又は Lá Fhéile Pádraig
移動祝祭日イースター・マンデーEaster Monday
イースターの日曜日の次の日
移動祝祭日(5月の最初の月曜日)Bank Holiday
移動祝祭日(6月の最初の月曜日)Bank Holidayかつては
聖霊降臨祭として祝っていた
移動祝祭日(8月の最初の月曜日)Bank Holiday
移動祝祭日
ハロウィーンHalloween10月の最後の月曜日
12月25日クリスマスChristmas
12月26日聖スティーブンの日(英) St. Stephen's Day (
愛) Lá Fhéile Stiofán 又は Lá an Dreoilín
関連項目
外部リンク
- 政府
- 日本政府
- 観光
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