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2018-03-08 07:07:00
沖縄タイムス社
入賞者も審査員もいないコンテスト…全てはアイデア進化のため【革新に挑む・14】
◆第2部起業を育む琉大地域連携推進機構審・・・
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◆第2部 起業を育む 琉大地域連携推進機構
審査員がいなければ、入賞者もいない。そんなビジネスプランコンテストが2月27日、琉球大学内であった。起業家精神を持った「アントレプレナー人材」の育成に取り組む琉大地域連携推進機構が主催し、同大のベンチャー起業講座1期生、国仲瞬さん(25)が社長を務める実現型ディスカッション企業「がちゆん」が企画運営する。
この日は県内の大学生や若手社会人など7チームが参加し、居場所づくりや動画コンテンツ制作など、この日のために練り上げたビジネスアイデアを発表した。
通常のコンテストと大きく異なるのはその後。一般来場者も含め参加者全員がそのアイデアの意義について話し合う時間が設けられた。
「アイデア出しと、アドバイスは禁止」。国仲社長のげきが飛ぶ。狙いは参加者がそれぞれのビジネスアイデアの本質に気付くこと。発表して終わりではなく、この後もアイデアが進化していくことを想定している。
国仲社長は「自分を突き動かしているのは何か。その根底に何があるのか。自分も学生起業家として、哲学的に掘り下げていくことを大事にしてきたから」と語る。
2012年度に始まった同コンテストだが、かつては優秀なアイデアを選抜する一般的なコンテストだった。しかし賞を取っても起業に至らないこともしばしば。同機構コーディネーターの田場誠さん(42)は、「優勝して得た評価が絶対になってしまい、失敗を恐れて踏み出せないのでは」と見る。
ほかにも課題はあった。優劣を付けるコンテストでは、プレゼンがうまい参加者が優勝し、本来は成長させなければならないアイデアがふるい落とされかねない。田場さんは「教育の視点からすると構造的な矛盾が生じてしまっていた」とし、企画を「がちゆん」に委ねた背景を語った。
「アントレプレナー人材」育成に取り組んで6年。田場さんは「革新的な発想で市場開拓を目指すスタートアップではゼロから1を生み出すことが試されるが、ゼロにたどりつくまでが大変だ。そのベースづくりを僕らが支えなければいけない」と強調する。
この日、「自分を見つめ直す場」を提供するアイデアを発表した同大2年の砂川美紅さんは「普通のコンテストなら私たちはまだ、さまよっているようにしか見えない。でも本気で起業したい。将来へつながる形で発表できる場はありがたい」と話した。
国仲社長も「やりたいという思いを引っ張っていくのが教育機関のあるべき姿。あとは大人たちのアドバイスではなく、本人の突破力だ」と断言した。(政経部・島袋晋作)
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