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鬼ムーチー
兄と妹
昔、首里に近いある村に兄と妹が住んでいました。妹は年頃になると嫁いでいきましたが、
兄はまだ独り者でした。それから何年かあと、妹の耳に妙な噂が聞こえてきました。
兄が鬼になって人を殺して食べたというのです。妹は心配になって家へ飛んで帰りました。
そして何気ない様子で家に入り兄に会いました。その時の兄の顔は鬼の顔でした。
髪はぼさぼさ、目は血走り、とても人間の顔には見えませんでした。
兄は妹を見ると、「久しぶりだな。元気か?
肉汁を炊いてあるから食べて行かんか?」と、鍋をあけました。
中を見て妹は驚きました。人間の手や足がグツグツと煮えていたのです。
「やはり噂は本当だった。このままだと多くの人が食べられてしまう。
どうにかして兄を殺さなければ、私まで食べられてしまう。」
兄の誘いを断ると急いで家に帰り、兄を殺す方法を考えました。
餅
妹は早速、餅をつくり始めました。
そして半分は小石や砂、古くぎをまぜてつくりました。
餅ができると兄の家へと急いで行きました。
「兄さん、今日はいい天気だから、あそこの山へでも行ってみましょう。
おいしい餅もたくさん作ってきました。」と兄を誘いました。
崖へ着くと兄を崖のほうに座らせて、自分はその向かい側へ座り、
用意してきた石や砂、くぎのはいった餅を兄に、おいしい餅は自分で食べました。
兄は餅を食べようとして一口かんでみましたが、とても硬くて歯がたちません。
ところが妹を見ると、とてもおいしそうに食べています。
「妹よ、おまえはこんなにかたい餅を平気で食べられるのか。」
「あら、お兄さん、こんなにやわらかいおいしい餅はないですよ。お兄さんは歯が悪いの?」
と、平気な顔をしています。兄は自分が喰えない餅を、妹は平気で食べているので驚きました。
鬼を喰う口
よく見ると、妹は兄に向かって足をひろげて座り、着物の下がまる見えでした。
下には何も着けておらず、股の間に何やらたてに開いた口が見えます。
「妹よ、お前は何で口が二つもあるのか?」と聞きました。すると、
「上の口は餅を喰う口、下の口は鬼を喰う口。」といって、
着物のすそを広げて兄の顔の前にもっていきました。
兄は下の口に食べられたら大変と、後ずさりして逃げようとしましたが、
後ろは急な崖です。とうとう足をすべらせて落ちて死んでしまいました。
それから村に鬼はいなくなり、人々は幸せにすごしたということです。
絵本「おにむーちー」では、餅の中のクギを鬼が食べてびっくりし崖から落ちる。で終わっていますが、
保育園向けに著者が苦労して、残酷シーンと下の口のシーンをとったそうですよ。
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