小浜司がおでんの東大を紹介


 今月から始まる小浜司の「あま見くま味」。 沖縄のあまくま(here and there)を歩き、見て食べて皆さんに紹介しようというもの。 沖縄といっても広うござんす。北はヤンバルから南は八重山の島々まで、島唄解説人・小浜司が綴る、予算が続く限り見聞録のドキュメント。 いざ、始めん東西東西。

おでん東大入り口
おでん東大入り口

おでん東大
私が取り上げるのは普通、ガイドブックなどには載っていないのを常とするのだが、今回は第一回目ということもあり、まあ有名どころで栄町の「おでん東大」を取り上げてみたい。栄町は那覇市のモノレール・安里駅の東側に位置する、市場や飲食店街があるところといえば説明は要らないでしょう。

栄町の名称は戦後、一旗上げたくて移り住んだ人たちが名付けたという。かつては料亭なども数件有り、今よりも規模の大きい飲食店街であった。そこの中心地というのが通称・栄町ロータリーとよばれる十字路で、そのロータリーのすぐ側に「おでん東大」はある。 私はかれこれ25年以上も前から東大のおでんのファンで、20代前半よくあのあたりを闊歩して飲み歩いていた。

その頃はもう少し奥まったところにあって、今の店よりも規模は小さかった。カウンターの中におばあさんが三人いて、おでんや酒を一生懸命お客の注いでいた。その計算の仕方が変わっていて、何かを注文するたびにマッチ棒手前に置いて、勘定するときにマッチ棒を数えて、いくらですとしていた。

安くでたくさん飲めてたくさん食べれるとこは今でも変わらない。おばあさん三人ともヤンバルは大宜味の出身ということで、お客の大半が何だか革新系の人たちのようであった。自民党を褒めるような話をすると、マッチ棒が2倍にも3倍にも増えたりしたものだった。恐ろしき哉!革新三婆。であった。

三婆のなかでも背の高いオーナーが昔、東京の東大の赤門の向かいでカフェの女給をしていて、沖縄に帰りおでん屋を始めて「東大」と命名したとあの頃聞いた記憶がある。 現在は三代目で、昔からある「ミミガー」の味は今も変わらぬ美味しさ提供してくれる。そのミミガーと一緒に出てくるマメ(腎臓)は私の25年以上の好物である。そして圧巻は何と言っても「焼きてびち」である。そのメニューはかつては無かったと思うが、一度食べたら止められない一品だ!
ミミガーとマメ(腎臓)
ミミガーとマメ(腎臓)
おでん
おでん
焼きてびち
焼きてびち


▼プロフィール
小浜 司(こはま つかさ)
沖縄県国頭郡本部町出身。幼少期を那覇市で過ごし、中学以降宜野湾市に遊ぶ。
大学卒業後ヤマトへ。季節工などの底辺労働に従事しながら、アメリカ、東南アジア、中国、アラブの国々を旅する。
沖縄に帰り、クリーニング屋の経営をしながら嘉手苅林昌や大城美佐子のリサイタルなどをプロデュース。
「風狂歌人」(嘉手苅林昌)や「絹糸声」(大城美佐子)など沖縄音楽CDを多数製作。2002年、国際通りに島唄カフェまるみかなーを開く。
2004年沖縄音楽デジタル販売協同組合に参画しインターネット三線教室を始める。
2006年、拠点を壺宮通り(那覇市寄宮)移し、島唄カフェいーやーぐゎーを開店。
沖縄音楽の音源や映像の楽しめる店として好評を博している。
琉球新報コラム「南風」などを執筆。

▼関連サイト
沖縄インターネット三線教室芸能日記

あまみくまみ

「あま見くま味」とは沖縄の方言であっちみたりこっちみたりという意味です。沖縄の島唄管理人、カフェまるみかなーのマスター、現在はカフェ「いーやーぐゎー」のマスター小浜司による沖縄県の隠れ家スポットや名店を紹介します。

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